住宅売買・購入登記費用の見積もり比較・司法書士の探し方・選び方・外し方

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どうやって探す?

見積に必要なデータが揃ったところで、いよいよ依頼先を探しにかかるとしましょう。

 特に立会を伴う住宅購入では、あまり遠方の事務所は避けてください。出張費(旅費や日当)が発生することがあります。
インターネットで報酬を公開している人で、あなたのところまでくるのに必要な出張費などが料金体系として設定されている場合にはその人に聞いてみるのは構いません。

 そうでなければやめておきましょう。登記費用として安くても、旅費や日当が高ければ意味はありません。せいぜい自分の住んでいる市区町村とそのとなり、そうでなければ車で1時間くらいまでの範囲から選ぶのが選択肢として現実的です。

タウンページ(電話)

 昔からある手法です。ウェブで集客しないタイプの事務所にたどり着きたい場合、これを選ばざるを得ません。

 あなたが平日昼間電話するヒマがあって、初対面の人と丁寧に話すのが好きで、時には多少邪険に扱われてもへこたれないならお薦めします。…アルバイトと思ってやってみてはいかがですか。
なお、電話帳に掲載されていなくても立派に仕事しておられる司法書士、ということはあります。開業してすぐ、とか、自宅の一室が事務所、などです。
各県司法書士会のホームページで名簿が公開されていますので、電話番号はそれによるのが一番正確です。

 注意してほしいのは、

  • 匿名・電話番号非通知では聞かない
 (あまりしっかりした相手だとは見られません)
  • 電話を受けた人に、見積をだしてもらえるかまず確認する
 (事務所として知らない人に見積を出すことはしないところもあるし、電話に出た人がただの事務員かもしれません)
  • 他でも見積もりを取っている、と断っておく
 (依頼と勘違いさせてはいけません)
  • 他の事務所の値段や対応がどうだった、という話は絶対しない
 (迷惑です!)
  • 説明すべき事項はあらかじめ用意しておくが、相手の質問に従う
 (電話を取ったとたんに話し出してとまらない、という方は不動産登記でもおられます)

 いってみれば常識を守って要領よく、ということですが、最近こういった最低限のコモンセンスが、インターネットとスマートフォンの普及で崩壊しつつあるようです。実際に電話の応対をしていて、そう思います。

 もちろん電話を受ける側の対応にも優劣はあるのですが、「いま他のお客様がみえておりますので」という言葉の裏には、「二度と掛けてくるな!」という意思が隠されているかもしれません。

 このあたりの最低限の基準がクリアできているならば、今度はお客さまがその事務所の質を判定できる段階に入ります。

  • 電話の第一声はどうでしたか?

妙に忙しそう、暗い、声が小さい、転送だ、など、これはその事務所の事情をよく反映しています。しゃべり方として好感が持てない、印象が悪いというような場合(あなたに原因がなければ)関わるのは避けましょう。

  • 事務員の教育としては徹底されているが…

実はブラックな事務所で志気は最低、というパターンはあるかもしれません。司法書士事務所でも補助者からの労働相談でたまに聞きます。筆者が以前勤めていた他士業の事務所でもそうでした。
この場合、依頼はできても本職が出てこない、なぜか夜遅くまで事務所の電話が通じてしまう(誰かが働かされている)、などという形で異常をうかがい知ることができます。

 電話ではほとんどの場合、こちらが伝えたデータから見積書を作るのに少し時間がかかると思います。その場で登記費用を即答されることは期待しないでください。

多くの場合、次の電話やファクスで見積もりをもらえるはずです。見積書が示されない場合も、どんな費目でいくら請求するかは最低明らかにさせるべきで、これができない、あるいは見積拒否というならその事務所は不採用にしたらよいでしょう。

 きっとそこは、固定客だけでやっていける事務所なんですよ。

知人の紹介

 とるべき行動としてこれもよくあるのですが、相見積もりを取っていることだけ明らかにしておかないと不採用にした場合に、紹介者との関係が悪化する可能性もあります。
「競争だいすき!営業だいすき!」というような事務所でない限り、慎重なアプローチが必要です。

 私も紹介者から抵当権抹消登記の仕事を受けたことがありますが、聞けばお客様は
『○○さんの紹介の司法書士だから、(銀行からいわれた司法書士の報酬から)少し高くても仕事を依頼するつもりでいた』
とのこと。こちらは
『○○さんの紹介だから、少し安くするつもりでそのとおり実行した』

 そのために、結果的にお客様には予想より大幅に下回る登記費用を提示してしまって双方大笑い、ということもあります。これは笑い話で済み、紹介者のメンツが立った(良い紹介になった)事例ですが、「誰かに紹介してもらう」のは時として、紹介する人やされる人に負担をかけることもわかります。この経路で見積もりを依頼する場合は、大雑把な費用の提示を求めるだけにとどめたほうがいいかもしれません。

その事務所のホームページ

 このコンテンツを見る方が最も関心があるところだと思います。
ホームページを何らか公開しており、電子メールで問い合わせができる司法書士事務所も一般的になりました。まずそうした事務所については

  • その事務所の報酬の『具体的な例』が公表されていればチェックします。

実際の計算や例が出ておらず、『所有権移転登記 5万円〜』とされている場合、そこから報酬を知ることは困難です。

  • 事務所として報酬の表示が出ているわけではないが、ホームページの構成として見積依頼を歓迎していそうな場合は遠慮無くメールで聞いてよいと考えます。

向こうはそれを狙ってウェブサイトとメールアドレスを公開しているわけですから。
また、同じ地域の同業者などからはっきり比較されるのを避けるためにある分野の登記申請の報酬だけ詳しく書かない、という事務所は確かにあります。

 見積もりに必要なデータと取るべき態度は電話と同様です。内容が不十分な場合に回答を避けられることは当然あります。

  • 他の事務所と全く異なる報酬体系を提示している事務所もあります。

 当事務所もその一つですし、他にも債権額や課税価格が数千万円までなら一律で同じ報酬、という事務所はあります。
なお、こうした事務所があえて独自の体系を作ったのはそれぞれに理由があります。大抵は依頼を誘致するため、普通の人からみてわかりやすい体系を採用しているはずです。案件ごとに違う見積書を作る手間を省くというのも理由になり得るかもしれません。

『マッチング』を目的としたサイト

 インターネット上で「仕事の依頼をしたい人」と「仕事を受けたい人」の結びつけを行うサイトは複数あります。司法書士に限定したものはありませんが、これらのサイトの中には法律関係・登記の業務の費用を見積もれるものもあります。

 個々の事務所にコンタクトを取る必要がなく、かつ匿名で相見積もりをとれることと、営業熱心な事務所に当たりやすいことは長所です。

 しかしながら観察していると、大都市圏でもなければ実際に提示される見積は登記申請1案件に対し数件のようです。とにかく聞くだけ聞いてみたい、という場合にはよいでしょう。見積もり依頼にあたって公開すべきデータは前記の通りですが、不動産の所在地や決済の場所など場所に関わる情報は市区町村まで明示しておけば事足ります。

 なお、遠方の事務所からの提案で「別に交通費・日当を請求する」などと書いてある場合、その額が見えないと比較できないことは仕方ありません。

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どうやって選ぶ?

さまざまな司法書士事務所から見積書を取るうちに、住宅取得の登記では次の2つに事務所を分けられることに気づくはずです。

一つは
 別に、あなたから依頼をもらう必要がない事務所

二つ目は
 あなたから依頼をもらってもいい事務所

 です。『依頼をもらう必要がない』というのは現状で獲得している(金融機関などの)固定的取引先で手一杯、または事務所経営として理想的な仕事量であるため、いきなり登記の見積を取ろうとする者など無視できる、ということです。

もっとはっきり言うならば、「紹介のない人は相手にしない」そして、それでやっていける事務所、ということになります。見積が出る出ないを論じるまでもなく最初から相手にされていないので、こちらも無理して近づくべきではありません。放っておきましょう。

 参考までにいいますと、司法書士を巻き込んで土地取引を巡って詐欺行為を行おうとする者も世の中にはいますから、身元のあきらかでない、あるいは飛び込みの依頼人を嫌うというのも、安全な事務所経営としては取りうる態度なのだと思ってください。
ウェブサイト製作業者が司法書士に提案するコンセプトとしても、依頼誘致ではなく事務所紹介を目的として無難なサイトを持たせるだけ、というものは有力です。地方で競合が少なければ、そうしたサイトでも検索で上位にきてしまい、あなたの目に入ることがあるでしょう。

 『依頼をもらってもいい』という事務所の多くは素直に見積りをあげてきますが、態度として濃淡がかなりあります。具体的には「自分がいつも取っている報酬を提示し、そうでなければ受託しない」ところ(大多数です)と、「営業大好き!相見積もり歓迎!」な事務所です。後者はここ数年で、特に大都市圏に増えてきました。

 ただし、よほど過激(下品)なウェブサイトを作っていないかぎり見積もり歓迎型の司法書士事務所ウェブサイトの識別は困難です。
あくまでも個々の事務所が提示した見積額、内容、その説明のわかりやすさ、レスポンスの迅速さなどを見て決めて行かざるを得ません。
「よその司法書士の見積はどうだから(値引きしろ)」と別の事務所に言うのは、ごくごく一部の相見積もり歓迎型の事務所を除いて有害無益です。

 不動産登記の世界では、司法書士事務所ごとに違う見積を提示できるところまではきたものの、競合させて値引きしようということが通るところまで司法書士業界はこなれてはいないのです。
法令上の問題として、司法書士には「報酬の基準を定め、(事務所内など)見えるように出しておく」ことが義務づけられているため顧客ごとに報酬額を変える司法書士事務所が好ましいとも考えられません。もちろん一部にそうした事務所が存在することは筆者も知っています。

 当事務所の場合は、「紹介を経たため、すでに依頼することを決めてきた人への値引き」「一度ご依頼いただいた方への値引き」「同時に同方面へ出張することにともなう、出張料金や交通費の値引き」はしますが初めての方がどれだけ競合をあおっても、ホームページで公開している登記費用より安くするから、というような見積もりは全然していません。大都市圏を除いては、その事務所が提示した見積額で比べていくのがよいでしょう。

もう一度、見積書を比べてみましょう

 決済への立会を伴う登記の場合、これを含んだ司法書士報酬の総額ベースで比較を行う必要があります。事務所によっては立会を別費目に計上するか否かの違いもあり、遠方の事務所なら日当や旅費の額までがあなたにとっての「住宅購入の登記申請を完了させるために、司法書士に払う登記費用の総額」だからです。所有権移転登記だの抵当権設定登記だのという費目ごとに比較するのは、あまり意味はありません。

注文住宅の新築のように個々の登記申請を時期的に分けて進められる場合だけは、各費目で比較したり一部の申請を自分で行うことを検討することができます。

各事務所から出てきた登記費用の見積書は、少なくとも所有権と抵当権の登記については実費である『登録免許税』の欄は大きく変わらないはずです。司法書士によっては登記申請準備に必要な不動産の登記情報取得の費用をここに計上するため、千円単位の誤差が生じることがある、という程度です。

逆に、実費部分が他と違って異常に高い事務所は避けた方が無難です。なにかおかしな費用が紛れ込んでいる可能性があります。この意味で、実費については行う登記ごとに他の司法書士の見積と比べてみるのも必要です。

 最終的には、「司法書士の報酬総額」以外に「登録免許税などの必要経費」だけでさらに見積もりの比較を行って、それぞれが異常値を示す事務所を排除する、という2段階の審査が必要です。この際の考えかたとして、報酬総額については集めた見積もりから高いほうの集団を排除、最も低いものは要注意として保留し、実費については他より高いものを無条件で削除すると「費用が高い・おかしい」タイプの見積もりを切りやすくなります。

最も報酬が低い見積もりを要注意としつつ即時に排除しないのは、何か他の費用をわざと落としている可能性もあれば単にその安い費用でいいこともあるためです。司法書士事務所としては真っ当だが安さ以外に売りがない事務所、というパターンもあるかもしれません。

登録免許税額の計算を一ケタ多く出してきた見積もりを一度だけ見たことがあります。自分の事務所を含めて4件ほどあった見積もりのなかで、その司法書士だけ数十万円高い登記費用になっていました。

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どうやって「外す?」

 あなたが純粋に住宅取得時の不動産登記の完了のみを目的として、登記費用を重視して司法書士を選ぼうとする場合でも、依頼すべきでないヒトや事務所は実在します。それが決済の日にわかる場合でも「次からは、絶対依頼すべきでない」ヒトも。これについて説明します。

司法書士でない「ヒト」

 なんだそれは?と思ってはいけません。かなり真剣な話と思って聞いてください。

 あなたからみて「登記申請の見積依頼をしてもいい」ように思えるヒトたちのなかには、まれに「実は司法書士ではない」者が入っている可能性があります。インターネットには、司法書士や弁護士ではないのに不動産登記を自分が行うかのような案内を載せている他士業の方もいるし、司法書士や弁護士ではない法律関係資格のヒトたちが巻き起こす問題事案のなかには「司法書士でないのに司法書士業務を行った」というものがあります。これらは論外な人達です。

 そうした有象無象どもが登記申請に最低限必要な技量をもっているどうかは全然わからないし、万一そいつが登記をしくじっても損害賠償責任保険に入っているわけはない(司法書士でないから、当然入れない)ので、責任追求が困難です。

 この集団の何が一番問題か、というと、商売っけが強すぎるから法を犯している連中なので値段としてはひどく安い額の提示をしてくることがある点です。ウェブサイトとして、あるいはサービスとしても魅力的に見えてしまうこともあります。完全に規制外で自由競争を挑んでいるわけですから、なんでもできてしまうということですね。

司法書士でないヒトを寄越す「司法書士」

司法書士の「事務所」が登記申請に関与しても、肝心な金融機関での決済(立会)の場に出てくるのが司法書士でなく、その事務所の事務員だということもあります。これは当日出会ったときに身分証明書の提示を求めないとわからないのですが、これも論外です。

しかしながら、業界内で問題として指摘されている以上、実際にこうしたことを行う司法書士事務所があるのも事実です。この場合、登記申請自体が通らないことはあまりないのですが、執務姿勢に問題がある事務所であることは明らかなので次からは依頼しないようにしましょう。
特に複数の法律関連職能が一連の仕事を行うような場合(たとえば、行政書士の農地転用→土地家屋調査士による測量・表示登記→司法書士が所有権保存と抵当権設定をおこなってプロジェクト完結、という場合)には、「いま、そこにいるヒトがどこの事務所のヒトなのか?」が曖昧になり、お客さまからみればみんな同じように見えてしまいます。

 そして、もっともらしく見えるにもかかわらずやってはいけないことをやっている真っ最中かもしれません。筆者が土地家屋調査士補助者だったころも、
「なんで他士業の補助者の僕がよその司法書士事務所の登記申請書の提出を代行し、しかもその途中で記載不備を見つけて訂正なんかしていいんだろう?」
 などと思っていたこともあります。人をたくさん使っているというのは事務所がはやっている証拠ではありますが、いつも担当と称する事務員が応対に出てきていっこうに司法書士本人と話ができないようなところなら、ちょっと敬遠した方がいいかもしれません。
司法書士に限らず士業に関する問題事案の中には、「仕事を大部分従業員まかせにして、自分はあまり仕事をしない」というものもあります。

見積拒否・または高額

 これは仕方がありません。その司法書士に依頼するかしないか決めていない状態で見積をだすことを強制できるようにはなっていないので、その司法書士の営業姿勢に従うだけのことです。深追い無用です。

名古屋市内でここ1〜2年聞くのは、綺麗でわかりやすい(あるいは、熱心な)ウェブサイトを持っている司法書士事務所に登記費用の問い合わせをかけたらすぐに対応を回避された、という事例です。見たところそう大きくない事務所なので、いろいろな営業活動をやりすぎた、そして仕事が集まりすぎた、ということなのかもしれません。

 また、ある司法書士事務所が相対的に他より高い登記費用の見積もりを提示してきたなら、なるほどその事務所はその値段で仕事がとれるのです。働きかけのしかたによって値引きされることはまれにありますが、他の事務所を探す方が効率的です。

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