相続・遺言かんたん!司法書士の選びかた

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見積書を読んでみましょう(相続)

一律・定額制の見積もりと個別に積算する見積もりを比較するために

相続登記の見積書では、所有権移転登記その他登記申請に関する費用のほかに、戸籍謄本類の収集と相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成費用が計上されることが一般的です。

事務所によってはこれらの業務を含んで何段階かにわかれた定額制の報酬体系を定めるため、見積もりの比較にあたっては

  • 自分がなにもしない状態で必要なサービス一式を想定し、実費と報酬額の合計を各事務所で比較する
  • 戸籍謄本の収集など、一部の作業を自分で行う場合にはまず一部作業だけ発注から外せるか確認し、その見積もりをとる
  • 自分ができる作業を外したあとの見積書や、各事務所が設定する定額制のコースで相当する内容のものから実費と報酬額の合計を各事務所で比較する

こうした比べ方をすることをおすすめします。他の類型の登記申請とちがって見積書に計上された個々の作業ごとに比べていくことが適当でない理由として、相続関係の業務では各事務所の方針を反映して費目をまたがる報酬の配分がなされる傾向が強いことが挙げられます。たとえば相続関係書類の収集を安価に設定するが遺産分割協議書作成の報酬を高くしておくとか、ウェブサイトで説明はしないが必ず相続関係説明図の作成報酬を加えておくことにしている、ということがあります。

これらは各事務所に言わせればそれぞれ正当なものですが、発注者からすると見積書相互の比較を難しくするものですので、相続登記についてはあくまで発注から手続き完了までの登記費用の総額を比べるほうが比較が容易になるでしょう。A事務所の相続関係説明図は5千円だがB事務所のそれは2万円だ、という比較には意味がなく、それと所有権移転登記までを一体として報酬額の合計を比べてみてください。
案外、B事務所の所有権移転登記報酬が安いために両者の見積額合計はほぼ同じになるかもしれません。

司法書士事務所によっては、戸籍謄本収集から相続登記までおまかせ・このほか金融機関の情報開示請求など周辺サービスを加える・相続登記のみ、などのサービスをパッケージにして、それぞれ一律の料金体系を定めています。最近では、登記申請する不動産の筆数にかかわらず費用が一律という事務所も出てきました。
こうした事務所では、個々の費目を明らかにした見積もりがとれるかわかりません。というより、費用を一律にするタイプの事務所の見積もりは、まさに合計額を一律にするために費目のどこかで調整しているはずなので、必然的に余所とくらべにくい見積もりがでてきます。

以下では作業ごとに費用が計上されている見積書を想定して、その内容を説明していきましょう。傾向としては次のような費目が読み取れるはずです。

  1. 所有権移転登記とその実費
  2. 所有権移転以外の登記とその実費
  3. 相続に特有な書類の準備とその実費
  4. 遺産分割協議書・相続関係説明図作成
  5. その他の登記申請でも発生する作業とその実費・日当や通信費や交通費など

所有権移転登記

 事務所により、司法書士の報酬は非常に大きな幅があります。ウェブサイトに表示されているものとしては2万円台から存在し、4〜6万円が一般的で、10万円台のところもあります。

発注者にとって必要な『相続登記』はここで説明する『相続を原因とする、不動産の所有権移転登記』を指しているはずなのですが、肝心な不動産登記の作業に加えて附帯サービス一式を含んで15万円、というような見積もりをだされた場合には比べようがありません。このタイプの報酬を表示するウェブサイトを見た場合、サイトの表示から費目ごとに比べていくことはできないでしょう。

 当事務所では、不動産の相続人1名、不動産一個で2万円、土地1筆と建物1個の住宅であれば2万2千円としています。このほかに必要な戸籍謄本類収集などの費用を加えてしまえば安いとはいえず、葬儀社経由で紹介されたという司法書士事務所と見積もりを比較されて負けることがあります。

 実費である登録免許税は、評価証明書記載の価格の0.4%です。価格1千万円の不動産であれば4万円です。

所有権移転以外の登記とその実費

被相続人の死亡にともなって住宅ローンが返済されていたり、被相続人から不動産の持分を相続する共有者の住所を現在のものに変えておく際に発生することがあります。
この部分は、相続登記とはまったく別のサービスとして見積もりを比べることができます。抵当権抹消登記だけ他事務所に発注したり自分でおこなう、ということも可能です。

所有権登記名義人住所(または、氏名)変更登記

 相続登記の場合、被相続人についてこの登記が必要になることはありません。死亡した被相続人ではなく生きていて不動産を相続する人について必要になります。
不動産を相続する人がもともと不動産の共有者としてすでに登記されている場合に、その共有者の現在の住所や氏名が、不動産の登記情報に記録されている住所や氏名と違っている際には相続を原因とする持分全部移転登記のまえに、この登記申請が必要です。
実費である登録免許税は不動産1個につき1千円かかります。土地1筆と建物1個からなる住宅であれば2千円です。

 司法書士の報酬は数千円から一万数千円までさまざまです。『所有権登記名義人住所変更登記 費用』で検索してみるとよいでしょう。
当事務所では、不動産1個・変更箇所1ヶ所の場合5千円、土地1筆と建物1個の住宅であれば7千円です。

抵当権抹消登記

 住宅の相続登記では、被相続人の死亡にともなって団体信用生命保険から住宅ローンが返済されてしまうことによって発生します。死亡前にローンの返済が終わっており、単に抵当権抹消登記をしていない、ということもあるでしょう。いずれの場合も、相続登記のあとに不動産の相続人から抵当権抹消登記を申請できます。
抵当権抹消登記は、不動産の所有者が借りた住宅ローンなどを返し終わったときに必要な、抵当権の登記を消す登記です。

 抵当権抹消登記を2980円などの安値で行う事務所は、『抵当権抹消 司法書士 費用』などをキーワードとする検索結果に表示されるPPC広告で集客しています。多くは郵送だけで全国対応することを標榜しています。実際にその費用で済むかどうかは不明で、ウェブサイトの説明をよく読むと他にさまざまな費用が上乗せされていることもあります。

 当事務所では、抵当権者が会社で不動産1個の場合7千円、土地1筆と建物1個の住宅であれば9千円です。

 抵当権抹消登記の場合、実費である登録免許税は不動産1個につき1千円かかります。土地1筆と建物1個からなる住宅であれば2千円です。

 抵当権以外にも、根抵当権・賃借権・仮登記・買戻特約などこの不動産の権利を制約する登記が別に残っていることが不動産の登記情報から読み取れる場合にはそうした権利や登記の抹消の登記が必要だという指摘を受けるかもしれません。
これも、相続登記後の不動産の相続人から抹消登記を申請できますので相続登記とは完全に切り離して考えることができます。

相続に特有な書類の準備とその実費

被相続人の戸籍謄本類の収集を指しているのですが、司法書士により見積書への記載方法はさまざまです。

  1. 相続証明書
  2. 戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本
  3. 相続人調査

こうした見積書をみたことがあります。1.は登記申請書の添付書類の記載に合わせたもの、2.は取得する書類を書きだしたもの、3.は実施する作業の意味合い、それぞれ作業のなかみは同じだ、と考えてください。

被相続人の住民票の除票を取得できず、死亡時の住所や登記上の住所と死亡時の住所を結びつける資料が無い場合は、『不在籍・不在住証明書』の取得費用が挙げられていることがあります。不在籍証明書は、証明書記載の本籍に記載の名前の人が現在本籍地をおいていないことの証明、不在住証明書は、証明書記載の住所に記載の名前の人が現在住民登録をおいていないことの証明です。
これらの証明書の取得で、少なくとも『証明をとった住所に、少なくとも同姓同名の人間がいない(つまり、死亡した可能性が高い)』ことが明らかになるため、この書類とほかの書類を組み合わせて相続登記をおこなうことができ、被相続人の死亡から5年以上経った相続登記の案件では一般的に利用する書類です。

遺産分割協議書・相続関係説明図作成

いずれも司法書士への依頼を必須とするものではありません。他士業への依頼も自作も可能です。
見積書に記載されている場合の費用は数千円から数万円まで、ばらつきがあります。相続人が一人しかいない場合・遺言や遺産分割調停の結果にしたがって相続登記を行う場合は遺産分割協議書の作成が必要ありません。

相続関係説明図の作成・添付そのものが申請に必須ではないことは別に述べましたが、依頼人からそう言われてあっさり受け入れる司法書士事務所があるかどうかは不明です。当事務所では相続関係説明図の作成作業で報酬をとらない、という方法で解決しています。
遺産分割協議書の作成報酬は、不動産2個・相続人2名程度であれば5千円としており、A4判に記載した場合のページ数で1ページ5000円としていますが、最大で3万円を超えたことはありません。このときの遺産分割協議書には、不動産複数個と預貯金・有価証券をそれぞれ数件ずつ、自動車を複数台記載して6ページ、3万円となりました。

その他の登記申請でも発生する作業とその実費・日当や通信費や交通費など

 司法書士によっては所有権移転登記に繰り込まれて費用計上されているのは、贈与など生きている人相互間での所有権移転登記と同じです。具体的には、不動産を取得する人の住民票や不動産の評価証明書の取得、登記済の書類の返送や法務局への交通費などです。

 当事務所の扱いとして、役所で書類収集を代行する場合、1ヶ所でおこなう最初の1件の申請について3千円、以後同一ヶ所で1件増加するごとに100円としています。このため、戸籍謄本類の収集に訪れた役所で住民票や戸籍謄本もとる場合は報酬の増加は100円で済みますが、1通だけ取って終わる場合は3000円となります。

 登記申請を提出する法務局と申請までの期間によって2千円から1万2千円までの申請代理の報酬を加えています。郵送により申請する場合は一律で3千円としています。

 事務所を出てお客さま方に訪問したり遠方の法務局に申請に行く場合、日当や交通費を見積もりますが名古屋市内では日当と交通費を合計して3千円としています。
 通信費を見積書に記載することはなく、登記完了後の書類を郵送でお返しする場合にはその実費を計上する程度です。

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Last Updated : 2017-07-11  Copyright © 2012 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.