弁護士法律相談で、労働紛争に関するもの

依頼であれ相談であれ、費用の高さがしばしば問題になります。

代理人として扱える依頼類型に制限がない一方、代理人として行動する過程で依頼人と方針をめぐる行き違いが発生することがあります。
技量が高くて良心的な事務所は実在します。多忙であることが一般的です。

以上のことから、筆者の事務所では相談者を特定の弁護士に紹介することを行っていない、と申し上げます。

制度上はこのコンテンツで挙げた各資格で唯一、すべての手続きで代理人として振る舞うことができ、扱える依頼類型に制限がありません。そのため、法的紛争に巻き込まれたふつうの人が真っ先に相談先として、あるいは代理人になってくれる人として考えつくのは昔も今も弁護士です。

しかし、労働紛争に取り組むことがあちらの業界で一般的なことなのか、と考えると実はそうでないようです。この、一般市民の期待ないし希望と業界の実情に大きな乖離があり、市民の側にそれが知られていないことが大きな問題です。傾向としては三つに分かれます。

  • 労働紛争は扱わない・あまり扱わない。紹介があれば相談は受ける
  • 昔の報酬体系でなら受任する。労働組合など、リアルな世界での集客ルートを持つ
  • 依頼を誘致する独自の報酬体系を持つ。ウェブサイトでの顧客誘致に注力する

労働紛争を扱わない事務所とは、相談者は関わりを持つこともないのではないか、というと、決してそうではありません。弁護士会や法テラスを経由して相談担当者を決められた有料相談で、相談開始直後に弁護士から「私は労働法はくわしくありませんので」といわれた、しかし相談料は通常通り払った、という事例は年に数回、当事務所の労働相談で聞かれます。

こうした担当者は法律相談の場で、依頼を受けるどころか報酬の説明すらしない(相談に行った人からすれば、もう聞く気にもなれない)はずです。

何らか満足のいく回答が得られるかたちで法律相談ができた場合、次に問題になるのは依頼の費用です。

特に100万円を下回るような賃金や残業代の請求では、弁護士に代理を依頼する場合の着手金の最低額が10万円だと言われることがあります。これは、10年ほど前に廃止された業界団体の統一的な報酬の定め方をそのままつかっている事務所が多いためです。少額の紛争について弁護士への依頼を検討している依頼人からすれば、複数の事務所で一般的に聞かされることになる説明だと考えなければなりません。この説明と、「だから請求額が少ないと、とれるお金より費用のほうが高くなったりするかもしれませんよ」という発言は、セットで用いられることがあります。

法律相談の場で弁護士からこう言われてしまった場合、その人に無理して依頼しようとは考えないほうがいいでしょう。
彼らの廃止前の報酬規定から計算すると、たとえば60万円の残業代請求で60万円を回収できた場合の報酬は

  • 着手金10万円(請求額の8%は4万8千円となるため、最低額として10万円)
  • 成功報酬9.6万円(回収額の16%)
  • 裁判所に3〜4回出頭してもらって日当合計6万円

これだけ支払ったとしても報酬の合計は税別26万円弱、印紙代等の実費を含めて30万円かかることはないはずなのです。

したがって、この報酬体系下で通常訴訟の訴訟代理を依頼しても、本当に費用倒れが発生するのは、おそらく請求額30〜50万円を下回る場合に限られるでしょう。しかし実際には、もっと高額な請求をする相談者にも、費用倒れの可能性の示唆が行われています。少額の依頼を回避するためなのではないかと複数の相談者から聞かれたこともありますが、他業種のことですから断言はできません。筆者の事務所に寄せられた事例では、130万円の賃金請求でも弁護士による法律相談で費用倒れの可能性を示されたため、その事務所に依頼しなかったという人がいます。

廃止前の報酬規定に沿った報酬体系の事務所が、300万円までの金銭の請求で

  • 着手金は請求額の8%(ただし、最低額は10万円)
  • 成功報酬は、認容額の16%
  • 遠方の裁判所への出張には、1日数万円の日当を要する

このようなものであるのに対し、労働紛争でも依頼を受けることに熱心な一部の事務所は独自の報酬体系を公開しています。

残業代の請求の場合

  • 完全成功報酬制で着手金なし 回収額の25〜30%
  • 着手金は10〜20万円で固定 成功報酬は回収額の20〜30%
  • 解雇の撤回など、所定の成果ごとに10〜30万円の着手金と、それ以上の成功報酬を定める

このような設定があり、初期費用の少なさや利用者に対するわかりやすさを確保するという長所はあります。
これらの事務所は相談無料をアピールすることも多いので、ためしに利用して相談や依頼を回避されなければ、その事務所からみて依頼に適する=損しない事案と考えられていることがわかるはずです。無料相談が依頼の選別のために運用されていて、案件の概要を伝えただけで本職と話さえさせずに断ってくる事務所もあります。

そうした無料相談は、相談者の泣き寝入りにつながることもあります。法律相談においても弁護士以外の職能の利用を考えない彼らを基準にすると、「(弁護士なら)誰に依頼しても最低10万円はかかるわけだから、少額の請求では費用倒れするでしょう」という発言は相談者に対して、嘘ではありません。他業種のことに言及していないだけです。

しかし相談するほうは「(弁護士以外の人を含む)誰に頼んでも無駄だ」という回答があったと思いこみます。これではなにも知らない人が泣き寝入りして当然です。

こうした商売熱心な事務所は少額な利用者からみれば迷惑ですが、勝敗ではなく依頼費用に重点をおいて説明をしているだけだという実情を知っていれば落ち着いて対応できます。彼らの応答をよく聞き取って、依頼を受けられないという結論ではなく受けたくない理由がどこにあるのかを他の相談を通じて比べてみてください。

一つや二つの法律事務所・大規模弁護士法人でいい対応を得られなかったからといって、あきらめる必要はありません。むしろそうした事務所のほうがおかしいのだ、と考えるくらいでちょうどよいでしょう。

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Last Updated : 2015-04-05  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.