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この裁判例にあるとおり

「私が見た判例では、上司による暴言で●●万円の慰謝料を請求した訴訟で××万円の支払い義務が認められたから、私もそうしたい」

などと言う人は当事務所の労働相談でもときおり現れます。

筆者はこういう人に接すると、言い返します。容赦しません。

  • なるほどあなたはその裁判の訴訟記録をごらんになったんですか?そこにはなにが書いてありましたか?
  • それと見比べてご自分の事案がまったく同じで、同じように事実を立証可能だというんですね?
  • さらにあなたは、相手からの反論もあなたがごらんになった裁判例と全く同じようになされると確信しておられるんですか?

どうせこんな検討には一秒も時間を割いていないことはわかりますので、遠慮なく申し上げます。
「素人がネットに転がってる情報集めた程度でなんとかなるもんかよ」と。
冷笑しているか憤激していることも多いです。

ある裁判例、というのは個別具体的な事実に対して、その当事者が主張し敵対当事者の妨害を排除して立証できたことがらに対する判断として出てくる、言ってみれば流動的な判断です。必ずしも、似たような紛争にある人が一般的にたどり着ける結果ではないのです。

最低なのは、ある裁判例にたどり着くためになされたはずの当事者の努力=訴訟活動の中身にいっさい関心を持たずに
「その裁判例なんか上司に暴言を言われただけで慰謝料が数十万とれたんだから、自分ならもっと取れるはずだ」
などと平気で言う人です。

こいつは他人の苦労なんか一切わからんのだな、と相談を受ける側に伝わってしまいますね。思い入れ抜きで適当に仕事してよほど儲かる事案でないかぎり、あえて依頼を受けたいという気にはならないでしょう。

少々厳しすぎる話かもしれません。むしろご自分の主張が受け入れられたように見える事例を探すより、失敗した例を探してそこに含まれる要素を排除していく研究活動にも同じように努力を傾けていただきたいと思います。

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Last Updated : 2015-04-05  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.