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不当解雇への対応。有料相談には価値がある…かもしれません。無料相談には別の何かがあるかもしれません

労働相談をおこなう事務所・団体給料・残業代・不当解雇・労災など

無料相談
労働基準監督署(総合労働労働相談コーナー)・各県労政事務所・全国労働基準関係団体連合会など
日本労働弁護団の、電話による労働相談 このほか、労働組合や任意団体による相談
各県社会保険労務士会の総合労働相談所
法律事務所および司法書士事務所(民事法律扶助による無料法律相談を含む)・一部の社会保険労務士事務所
当事務所の、民事法律扶助による無料法律相談

有料相談
弁護士会・法テラス・一般的な法律事務所の、弁護士による法律相談
一部の社会保険労務士・司法書士事務所
当事務所(社労士兼司法書士)の相談

給料未払いや不当解雇などの労働紛争に限らず、紛争を適切に解決するには早めに知識のある人に相談することが重要です。思いこみや感情のもつれで争いになることも多い労働紛争では、第三者の意見も聞いてみることはそれだけで意味があります。

もちろん労働相談の目的は他人の意見を聞くことだけではありません。法律に従って解決すべきどんな紛争でも、まずつぎのことを正確に把握していないと解決のしようがありません。

相手方に対して、なにを根拠にどんな主張ができるのか?その実現のためにどうするか?
これを知ることが労働相談や法律相談の主な目的です。

未払いの給料や残業代など労働債権の回収が目的であれば、いくらお金を請求でき、その根拠は何か=労働契約(就業規則)か強行法規かを知ることです。法律相談のつぎにどんな手続を踏むにしろ、これが正確にできていなければどうしようもありません。『正確に』というのは、理想的には訴状に書ける程度の正確さなのですが、1時間〜30分程度の有料法律相談でもこれを実現するのは無理でしょう。

時効が迫っていたり即時解雇された場合など、正確さにこだわるより迅速に、または安価な手段で対応しておくほうがよいときもあります。こうした方針を決めるためにもなるべく早期に労働相談を利用しておいてほしいのです。ただし、以下の理由で士業の事務所へお電話無料相談はあまりおすすめできません。

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相談機関・個々の担当者ごとに、労働相談の質は違います

上記の各相談場所で提供される相談は、特徴も相談品質も違います。

裁判の相談が苦手な相談先労基署・社労士

労働基準監督署を中心に置かれている総合労働相談コーナーは全国至るところにあるため、地方に住むひとには使いやすい相談場所です。しかし、訴訟や労働審判などの裁判手続きについてはごく一般的な助言が得られるだけです。

裁判手続きに関する助言が弱い点は社会保険労務士会の総合労務相談室も同様です。ただしこちらは、雇用保険・社会保険など社会保険労務士が日常扱う分野がかかわる労働紛争の相談であれば、その部分には的確な答えを返してくれることが期待できます。

少なくともこの二つの相談先に裁判手続きのことを聞いて、役に立つ答えをもらうことは期待しないほうがいいです。不当解雇の問題を労働審判で解決したい場合、まず外していい相談先になります。

依頼を選ぶための無料法律相談残業代・不当解雇で儲けたい?

ここ2〜3年で、労働紛争とくに残業代請求・不当解雇について無料法律相談を行うという法律事務所(弁護士)も増えてきました。

しかしながらこうした事務所のなかには、労働紛争について専門性があるというより『数年前までやっていた過払い金返還請求に代わってお金を稼ぐ分野の一つとして』残業代請求や不当解雇などの労働紛争を選んだ、というところも相当数混じっていることは、前のページで説明しました。無料法律相談をする事務所も、品質は玉石混淆と言ってよいでしょう。請求額が多い残業代請求や、まとまった金額の解決金を得て離職することに労働者が同意している正社員の不当解雇事案は依頼を受ける事務所からみて、「儲けやすい業務」と考えられています。

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不当解雇を大手弁護士法人に相談したら…?検索したら、そうなった

不当解雇にあった労働者が大手弁護士法人の無料法律相談に電話したところ、依頼をするよう急かされたうえに適当に和解されて会社を辞める羽目になった、という話も聞かれるようになりました。

出所はYahoo!ニュースですし記事の著者に賛同するわけではありません。しかし、不当解雇への対応で復職を目指して弁護士を代理人にしたのに、勝手に労働審判を申し立てて解決金を得て合意退職するよう行動された、という話なら当事務所の労働相談でも複数回聞いています。

リンク先の記事にも出ていますが、「不当解雇 無料法律相談」といった検索キーワードで「一番上にくるくらいだから信用できるはず」(リンク先記事より引用)などという発想は、今や安易で愚劣で危険です。

金儲け目的の事務所の見切り方『●●専門』と無料相談に注意

労働紛争に関与しようとする不純な事務所にはかんたんな見分け方があります。
『残業代請求専門』というところは金儲け目的と断じてかまいません。『不当解雇専門』もまずいでしょう。

これはどんな士業にも共通しており、行政書士・弁護士、あるいは司法書士・社労士でも同じ傾向を示します。

個別労働紛争と一言で言っても実に奥が深く、単純な賃金未払いから不当解雇・パワーハラスメント・社会保険の扱い・労働災害やそれらの予防まで多々あるなかで、残業代請求という特定分野を専門として扱うと宣言する自体が数年前まで考えられず、この分野に関わる弁護士はせいぜい労働側か経営側かに漠然と分かれていた程度だったのです。

○○専門を自称する怪しい事務所は完全成功報酬制で着手金不要としたり法律相談が無料と言っていたり、とかく目に付きやすい好条件をならべています。うまい話がお好きな方なら、あえて釣られてみるのもよいかと思います。

しかしながら単に電話で受け答えをするだけのやりとりを無料相談と称しているもの(この見解によれば、当事務所でも無料電話相談を行っていることになります)、儲かる・簡単そうな案件だけ受ける=依頼と依頼人を選別して見捨てるために無料相談を実施しているもの、実は本職ではなく事務員が電話に対応しているもの、相談後に依頼をとるための電話を何度もかけてくるもの等々あることも承知しておきたいところです。

これらは債務整理で無料電話相談を標榜していたいくつかの事務所の実情でしたし、士業による残業代請求の相談における問題事例としても知っています。営利目的で無料法律相談を行うならば、こうした対応も当然ありうるでしょう。逆にメールフォームで問い合わせをしても数日間なんの反応もない、ということもあります。これは儲からない案件だったからかもしれません。

ただ、それらの事務所の法律相談が本当に無料であるなら(依頼するよう迫られたりしなければ)相談を打ち切って電話を切るなり事務所を出て帰ってくればよいので、とにかく相談してみたい人に大きな負担にはならないでしょう。反対に、あなたの残業代請求や不当解雇が士業にとっては儲からない、そう見切って相談を打ち切る自由は先方にもあるということを承知しておけば腹も立ちません。どうせ無料の相談です。

上記の実情を心にとめておいて、労働組合の無料労働相談も含め相談中や相談後に業務の依頼や組合への加入を露骨に勧めてくる、急がせるような相談先とは関わらないことを強くおすすめします。

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有料または無料の『法律相談』についてご不満いろいろ

弁護士による、不当解雇や未払い残業代に関する法律相談を経たあと不満を抱いて当事務所に来られる方がいます。

不満がなければさらに相談をする必要はないわけですから、筆者がたまたま問題事例をよく見てしまう位置にいるというだけでしょうが、下記のような事例を聞いています。

専門家の法律相談での問題事例

  • 市役所の無料法律相談で弁護士がいきなり泣き寝入りを勧めてきた
  • 市役所の無料法律相談で弁護士が『私は労働法は詳しくないので』と言って相談にならなかった
  • 有料法律相談で準備も誘導もないまま話していたら、30分経ってしまい本題に入れずに終わった
  • 弁護士会の有料相談で相談開始後30分経たないのに相談を打ち切られ、30分の料金を請求された
  • 有料・無料の法律相談をしてくれる人はいても、依頼は受けてもらえない(特に少額な事案で顕著)
  • 電話で無料相談を行うという大規模弁護士法人で電話相談をしたが、証拠が貧弱だとして依頼を断られた。ただし電話相談なので、書類をみたわけではない。
  • 対面での有料・無料の法律相談で、証拠書類等を準備していったが弁護士がそれをほとんど見ない。具体的提案もしない

これらは一体どうしたことか、と聞かれるのですが、筆者としては「そういう実情も確かにあります。運が悪かったですね」としか答えようがありません。有料であれ無料であれ初めての方の法律相談で、相談時間を30分で区切ろうとする設定自体がそもそも適切ではない、と筆者は考えています。

相談担当者もピンからキリまで

こうした事例はほかにもたくさんあります。一方で限られた時間のなかで真っ当な法律相談をする弁護士さんもたくさんいらっしゃる、と思いたいです。ここでは、たまたま低レベルな人にあたってしまった方のために、『それは残念だが、通常ありうることだ』と指摘しておきます。気落ちせずに、次の相談先を探してください。

なお、筆者は司法書士ですが、上記の例は司法書士と弁護士の法律相談の質を比べて、どちらがいいとか悪いとかいう意味の主張ではありません。司法書士による労働紛争に関する法律相談が一般的になれば、こうした問題点もいずれ顕在化してくると思っています。
現状で司法書士による労働相談での顕著な問題点は、

  • 筆者と面識のない方が当事務所を一応紹介するが、司法書士が法律相談できる範囲を明らかに超えている(2012年時点)
  • 弁護士と同様に残業代請求の依頼を集めようとしているが、代理権に140万円の上限があることを一切説明しない(2014年以降)

という問題事例を把握しており、特に後者はいずれ懲戒処分につながるような業務をしているのではないかと危惧しています。

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不当解雇事案が欲しい人たち入り口はもちろん『無料相談』

前のページでは残業代請求を巡る新規参入事務所の実情を説明しました。
ここでは労働問題の「無料相談」からつながるもう一つの重要テーマである不当解雇についていくつか指摘します。

昔の不当解雇にでてくるのは、総評と労弁と労働者

現在のように残業代請求がビジネスとしてはやり出す前は、不当解雇が労働弁護士の花形業務の一つだった印象があります。労働組合の支援を受けて通常訴訟を戦い抜き、労働者をみごと復職させてプレスリリースを出し凱歌を上げる、というような。いまでは労働契約法になった解雇権濫用の法理などの蓄積は、そうした強い労働組合と熱心な弁護士、そして誰より勇気ある労働者たちが作ってくれた、いわば社会の財産です。

今の不当解雇に出てくるのは、合同労組とビジネス弁護士と…労働者はどこ?

ですがこの分野にも、お金儲け目的の人を多く見かけるようになってしまいました。
10年ほど前に導入された労働審判手続きによって、不当解雇事案で「解決金を支払い、労働者を合意退職させる方向での調停」が定着してしまったことが少なからず影響しています。理想的には労働組合がしっかり労働者に寄り添ってほしいのですが、こちらにも結構な問題がありそうです。不当解雇後に慌てて合同労組に加入し、自分の問題が解決されたら脱退してしまう、そうした利用的な加入の仕方をする労働者自身にも問題の原因はあります。

不当解雇での士業の儲け方ウェブサイトからわかります

嫌な言い方ですが、ビジネスとして労働紛争に関わるようになった士業=残業代請求と同時に不当解雇事案も扱うと標榜しだした事務所は、やはりウェブサイトに特徴があります。これも残業代請求と同様、「できるだけ裁判外での交渉か、そうでなければ労働審判でさっさと終わる」ことを目指していると読み取れます。通常訴訟にだけは多めの着手金・成功報酬が定められているのはこうした「訴訟にしたくない」という思惑も込めてあるはずです。

労働審判より通常訴訟のほうが手間がかかるから着手金が多いのは当然だ、という反論はあるかもしれませんが、実情に沿いません。
統計上、不当解雇事案において労働審判で得られる解決金より通常訴訟で得る解決金のほうが賃金の数ヶ月分程度高いため、弁護士が得る成功報酬額も比例的に増えて最終的には報われるはずだからです。(統計に関しては、労働政策研究・研修機構『労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析』参照)

このことを、不当解雇事案を集めたい士業が「金儲けのために労働紛争ビジネスに参入した」という前提で考えてみましょう。手続きが最大3回の期日で終わり、通常訴訟ほどではないがそれなりの解決金が得られる労働審判を第一選択肢とするのは事務所の経営上、手間と売上のバランスがいい、儲かる案件ということになってきます。

上記の統計からさらに考察すると、完全成功報酬制で労働審判手続きを推奨しつつ不当解雇の依頼を受ける弁護士が「労働者の権利を守る」などと言っていること自体信じる根拠がない、ということになります。

おなじ『合意退職+解決金』という結果を得るにしても、通常訴訟のほうが労働者が得る金額が大きいのが見えきっているなら少なくともそうした事実は説明して選択の自由を与えなければならないのに、彼らのウェブサイトはそんな情報提供をしていないからです。

「自信があるから」着手金不要、という言い方も実はおかしいです。残業代請求であれ不当解雇事案であれ、事案の性質に照らして着地点=つまり解決金額が見えている、「自信がある」ような案件ばかり受けていられるなら、着手金をゼロにする代わりに成功報酬の料率を上げる、つまり最終的な報酬額を上げる必要がありません。少なくとも、着手金+成功報酬の組み合わせより高額になる完全成功報酬制の設定は『依頼を受ける側の金儲け』以外に必要がないことになります。むしろ難易度がすごく高い案件で受任側も「自信がない」から着手金を取らない=完全成功報酬制にする、と言われたほうが腑に落ちます。

さらに意地悪く推測すると、不当解雇における労働審判手続のように労働者が得られる解決金は低くなるがお手軽な傾向を持つ選択肢を推奨する人たちが、残業代請求でだけは全力で請求額の拡大に努めてくれる、と期待する理由がありません。むしろこの分野でも、適当な水準で妥協して依頼件数を増やすほうがビジネスとして合理的です。

労働者側にも厳しい言い方をすると、完全成功報酬制と無料法律相談と検索上位のウェブサイトに飛びつくのは情報弱者のやることです。

思い出したように催される団交合同労組の関わり方

士業がダメなら労働組合はどうでしょう?こちらも無料の労働相談会を開いたりして、依頼…ではなく組合員の加入を募っています。

仮に不当解雇された労働者が合同労組(誰でも入れる労働組合)に加入した場合、どうなるでしょう?
一般的な流れとしては専従の組合員や小さな労組なら執行部の人に事情を聞かれ、労働組合として復職なり解決金なりの要求を示して団体交渉の申し入れをし、まず第一回目の団交を行います。好戦的なところだと職場周辺で街宣活動やビラ配り、労働組合のブログへの社名掲載などの広報活動もあるかもしれません。

で、これが逆効果になると企業側は引くに引けなくなります。
労組によっては、労働者不在の争いが始まります。この後は団体交渉よりは(当該組合員不在の)小規模な折衝が開かれたり、戦術によっては県労働委員会へのあっせん申し立てが選択されたりするかもしれません。県労働委員会へのあっせん申し立ては、労働組合が申立人になれるからです。こうした交渉の過程で、執行部による説得がなぜか労働者に向いてしまう、説得というにはかなり強い表現でなされることもある、という話も漏れ聞きます。

「労働組合が申立人になれるから」県労働委員会へのあっせんの手続きを選択する、と筆者は指摘しました。逆に、労組の手を離れて弁護士に任せなければならない労働審判や通常訴訟などの法的手続きになかなか移してくれず、時折思い出したように団体交渉や折衝を繰り返すだけで一向に話が前に進まない、という話も労働者側から聞かれることがあります。

こうなってしまった場合、筆者自身ははっきり言いませんが(そうした発言が録音されて組合執行部側に渡ったら、それこそ大変なことになります!)その労働組合には見切りを付けたほうがいいでしょう。そこは労働者の都合ではなく、労組の都合で物事が動くようになっています。

やめたほうがいいとは決して直接言わないのですが、組合おやめになったあと自分で法的措置を取りたいならこちらでご依頼は受けるよ、とは申し上げているところです。

愛知県内では合同労組の一つが、不当解雇事案であっせん申し立てを経て企業から解決金を受け取り、カンパの支払いを労働者に要求したうえで解決金の支払いを全額止めて(組合が1年以上、お金を預かりっぱなしにして!)労働者から訴えられた事案があり、地元新聞でも報道されました。

労働者が事業を始めるために組成した協同組合であるはずのワーカーズコーポラティブを標榜する団体が、各地でサービス残業や不当解雇等の労働問題を起こしていることも筆者の事務所では承知しています。

結論みんなお金がすきだから(苦笑)

士業も労組もワーカーズコーポラティブも、結局みんなおカネが好きなのか、と言われればそう納得せざるを得ない状況です。
そうでない士業や団体もきっとある、と筆者も自身の経験から言えるのですが、不当解雇の可能性にさらされて昨日今日スマホで情報を集め出した、という程度の人が首尾良くそうしたところにたどり着ける可能性はかなり少ないです。

そんな事務所しか発見できないならどうしたらいいのか、と言われれば、当事務所は弁護士ではないので「自分で勉強して知識を蓄え、代理人をつけないでも大丈夫と思えたら通常訴訟の訴状なり労働審判申立書作成のご依頼をください」としか申し上げられません。そうして、弁護士を代理人にせずに成果を挙げられる人はちゃんといます。

筆者はときどき政治的信条を間違われるのですが、労働者側での活動は好きでも労働組合や階級政党系弁護士の活動にはどうにも共感しかねるものがあります。少なくとも、「労働組合に入れば大丈夫だ」などとは全く考えていません。
妙な言い方ですが、政治的に左に寄ってるわけじゃないので安心してください、と言いながら労働者側の裁判書類を作っています。

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