裁判所での手続を自分で行うために(本人訴訟)

当事務所では労働紛争を重点分野として、自分で裁判をおこなう人のために書類をつくっています。
民事調停・家事調停など労働紛争と関係のない裁判書類の作成もつねにおこなっています。

平日昼間に自分で裁判所に出頭でき、訴訟を維持できるだけの証拠が揃っているなら、弁護士を代理人にせずに書類作成だけ司法書士に行わせて本人訴訟を行うことは紛争解決への費用を抑えるための有力な選択肢です。

先行する裁判手続きの結果にもとづいて、訴訟費用額確定処分申立書や債権差押命令申立など強制執行に関する書類だけを作成することもできます。

当事務所ではそうした人のために各裁判書類を作るほか、休日・夜間にも相談に応じます。
少額訴訟のために半日だけなら会社を休めるが、訴状・答弁書の提出や作成のための相談で裁判所に行けないようなときの利用もおすすめします。

料金(報酬)のめやす

簡易裁判所に提出する書類とそれ以外の裁判所に提出する書類で異なる料金を定めています。
料金の上限は、作成する書類の枚数で決まります。
 (訴状など 手続きを始める側の書類作成費用の詳細へ)
 (答弁書など 請求を受けた側の書類作成費用の詳細へ)

簡易裁判所に提出する書類

  • 正本の最初の4枚まで2万円 以後1枚ごとに5000円

地方・家庭裁判所等に提出する書類

  • 正本の最初の4枚まで3万円 以後1枚ごとに6000円

依頼の類型ごとに、上記より低い料金を定めることがあります。

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訴状・準備書面・陳述書・答弁書など、訴訟に関する書類

訴訟を起こすための書類が訴状、訴状を提出した結果相手方からでてくる答弁書への反論や新しい主張の追加を行う書面を、準備書面といいます。

訴訟で提出する証拠として、当事者や証人が経験したことを訴訟に役立つ形でまとめたものが陳述書です。

誰かから訴えられた人が、訴状への反論を記載して出す書類が答弁書です。

答弁書の提出後に、主張や反論を追加するための書類は、準備書面といいます。これは訴えられた側と訴えた側で同じです。

訴状や答弁書のほかにも、一つの民事訴訟の開始から終了まで裁判所に提出する書類すべてについて、司法書士は作成を代行できます。

特にお金の請求を行いたい場合、手続き選択の基準として訴訟(通常訴訟および少額訴訟)はつぎの特徴を持っています。

支払督促や民事調停より、訴えを起こす裁判所の選択肢(管轄)が広い

支払督促や民事調停では、常に相手の住所(または、店舗や事務所があるところ)を管轄する裁判所にしか申立を行えません。

しかし貸金や損害賠償請求などの訴訟では、訴えを起こす人(原告)の住所を管轄する裁判所に訴えを起こすことができます。
名古屋の人が東京の人にお金を貸している場合に、名古屋の裁判所に貸金請求訴訟を起こせるわけです。

相手が無視した場合の制裁が強力

訴状が被告側に届いたのに、反論もしなければ期日への出席もしない場合、第一回目の期日で勝訴判決がでることがあります。
ただし、訴状が適切に作成されている場合にかぎります。

そんなにお金はかからない(本人訴訟による場合)

たとえば、個人での100万円の貸金返還請求訴訟を起こすとします。
この場合に必要な実費は、印紙代・切手代で約1万7千円程度です。

自分で訴訟を行うなら思ったほど実費は使わない、という印象を持たれる方も多いです。

このことから、訴訟でかかる費用として『代理人が取る報酬』が非常に多いことに気づきます。単に本人で訴訟を行う場合は、この部分の費用が発生しないか減らせることで紛争解決への総費用を大幅に減らせるかもしれません。

110万円の貸金返還請求訴訟の訴状・準備書面・そのほか添付書類一式を作成した場合の司法書士の料金として、証拠が十分ならば5万円強で済んだ例もあります。

証拠がなければ負ける。和解で請求額が削られることも多い

実情として、訴えを起こしたとたんに相手方から事実とは違う反論が出てくることは大変多く、こうした反論を排除できるだけの『形になった証拠』がなければ訴訟を起こしたほうが敗北する危険があります。

また、よほど不適切な訴訟活動をする相手でないかぎり判決でなく和解で終結することも一般的です。
この場合には納めた印紙や使った切手は全て自己負担、さらに請求したい金額より何割か削られた金額にされることが普通です。

判決・和解等で支払い義務が認められたとしても、相手が自発的に支払われなければ債権者が債務者の財産を探したうえで強制執行の申立をするしかないことも、訴訟のみならず裁判手続きの利用においては承知しておかなければなりません。

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民事調停申立書

裁判所でおこなう紛争解決のための手続きではあるものの、非公開の場所で民間人二名の調停委員が主に手続きをすすめるのが民事調停です。
この手続きを始めるための民事調停申立書・答弁書も、司法書士が作成できる書類です。

お金の請求を行いたい場合に、民事調停はつぎの特徴を持っています。

『訴訟』ではない

訴訟ではなく民事調停だ、ということで、裁判所からきた書類を受け取った相手方の心情が違うことが推測されるのが民事調停の最大の特徴だと考えます。

少なくとも訴訟になってはいないことが明らかに伝わるので、相手がこちらに支払の意思があるような場合、ムダに抵抗されずに合意に至ることが期待できます。

世の中には、自分が被告と書かれた書類が裁判所から着いただけで怒り出す人もいます。場合によっては申立と同時に相手方に趣旨説明の手紙を送るなどの工夫も必要ですが、民事調停は訴訟ほど相手を精神的に激しく追いつめることがありません。

最初から譲歩した形で申立書が作れる

返済期限が過ぎている貸金100万円を払ってほしい、ただし、払ってくれるなら10回払いでもよい、というような希望をすでに持っている場合に、最初からそのように申し立てることは民事調停では可能です。

一般に民事調停では、訴訟で請求できることはほとんど全てでき、さらに訴訟より請求の内容を相手方に譲歩する形で申し立てることができます。

つまり、ある程度支払の意向が見えている相手方に対して申立人も譲歩する形を取れるなら、民事調停の選択も好ましいと言えます。

相手が住んでいるところにしか起こせない

これは短所です。東京に住んでいる人が大阪に住んでいる人に対して『民事調停』で貸金返還を求めたい場合には、申立を起こす裁判所は大阪簡易裁判所になります。このような場合には訴訟を選択するほうがよいでしょう。

申立費用の差額を払えば訴訟に移行できる

民事調停を申し立てる際に、手数料として納める印紙代は通常訴訟の半額です。
仮に相手が応じなかったり無視して来た場合には、差額分の印紙と切手を納めれば通常訴訟に移ることができ、印紙代はムダになりません。

相手方の意向は見えないがいきなり訴訟に踏み切るのはまずい、というようなときに、民事調停の申立から入ることも考えられるでしょう。

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支払督促申立書

支払督促はお金の支払いを請求するときに選択できる裁判所が扱う手続きの一つですが、この申立を単体で行うことは、当事務所ではあまりお勧めしていません。

あくまでも訴訟につながる手続きとして、慎重に選択することが必要です。支払督促は下記の特徴をもっています。

裁判所への申立から相手に送達されるまでの時間が短い

支払督促は適切な申立書を提出すれば、数日で裁判所から相手(債務者)に送達されます。

送達後二週間以内に相手から異議がでなければ仮執行宣言の申立を行うことができ、仮執行宣言付の支払督促が相手に送達されてからさらに二週間以内に異議が出なければ強制執行可能になります。相手から異議がでない場合には理論上最速で強制執行までたどり着けることになりますが、あくまで理論上の話に過ぎません。

相手は簡単に異議を述べることができ、異議が出れば通常訴訟に移る

支払督促をうけとった相手が異議を述べなければ、強制執行の手続きに移れます。
いっぽうで債務者側は支払督促に対し、単に『異議がある』と書面で明らかにすればよい(裁判所によっては、記入欄にチェックする)だけですので、相手方としては分割払いを希望するときでもウソをついて踏み倒したいときでも、とにかく異議を出すことができです。

債務者から異議が出た場合は、申立手数料の差額を払えば訴訟に移行できます。
しかし、相手の意向として単に分割払いにしてほしいのだと推測できるなら民事調停を選べばよく、なんらか理由があって本気で争ってくるなら当初から訴訟にすればよいので、支払督促を積極的に選ぶメリットはあまりありません。

さらに、支払督促に対して異議が出た場合には少額訴訟に移行できないので、60万円以下の債権を速やかに回収したい場合には当初から少額訴訟にしたほうが、まだ早く終わる可能性が見込めます。

相手が妨害を適切に行うと、通常訴訟より解決が遅れる

請求する相手が支払督促の制度をよく知っていて悪用した場合には、支払督促は通常訴訟より解決が遅れる危険性を持っています。

なぜなら、支払督促送達→異議が出なければ仮執行宣言送達→仮執行宣言に異議が出なければ強制執行可能になる、という流れで相手から異議を待つ2週間は必要なのですが、逆に考えれば支払督促が債務者に送達されてから二週間経過する寸前に異議がでた場合、その時点で申立から2週間弱がむだに経過したことになります。

通常訴訟に移行するにしても、移行後の第一回口頭弁論期日は債務者側で異議が出てから定められますから、最初から通常訴訟を起こして訴状提出後約1ヶ月程度で設定される第一回口頭弁論期日を待った方が速いかもしれない、ということになります。

財産開示手続の制度が使えない

支払督促は相手から異議がでなければ最速で強制執行へたどり着けますが、強制執行すべき財産を債権者が知らない場合は強制執行に関する申立(債権や不動産の差押命令申立)が事実上できません。
差押の申立にあたって、債務者の財産状況は債権者が調査するべきものだからです。

訴訟を経て判決を取り確定した場合や和解で終結した場合、民事調停が成立した場合には、強制執行の準備のために一定条件下で相手側の財産の内容を報告させる制度(財産開示手続)を利用することができます。これに対して、仮執行宣言を受けた支払督促はこの制度が使えません。

ですから相手の財産を知らない場合、支払督促から仮執行宣言を得ても次に打つ手がなく、むだになります。

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