相談室からひとこと

ごくたまにしか発動されないが、最強の必殺技。

一般先取特権に基づく債権差押命令申立は、一言でいうとそういうものです。
成功すれば請求額の全部に遅延損害金と申立費用を加えた額を、申立書類提出から1ヶ月程度で回収でき、手続き開始に必要な実費としては1万円に満たないことすらあるわけですから。

しかし労働者からみてこれを実現するには、

  • 労働者側に要件事実に即した証拠が真正な書類で完備されていて
  • 使用者側に差押に適した財産があって
  • 申立を受託してくれる弁護士や司法書士に巡り会えて

これではじめて選択可能な手続きだ、といわなければなりません。

申立が成功すれば、このコンテンツで挙げた他の全ての制度に対して圧倒的に優越する速さとコストパフォーマンスを実現できるはずの手続きなのですが、その効果ゆえに申立の要件がとても厳しいのです。

ですので、たまたまこのコンテンツにたどりついた人が『自分は●●と●●の書類を持っているから一般先取特権が使えるはずだ!』などと安易に信じてほしくないし、そうした人にリンクを張られても困ってしまいます。

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当事務所では、少額でも一般先取特権の行使を積極的に行います

積極的に、といっても司法書士として19年間で4件5名の申立しか受けたことがありませんが、司法書士の中では多いほうだと思います。申立ての対象としたことがある労働債権としては

  • 基本給
  • 年俸制契約での賞与
  • 賃金の支払の確保等に関する法律所定の遅延損害金
  • 解雇予告手当

これらがあり、いずれも十分な準備をして迅速に申立を行った結果、4件中3件の申立では請求債権全額、残り1件では約3分の2の回収に成功しています。申立に要する期間は、依頼人の最初の問い合わせから申立書提出まで3日〜2週間、管轄裁判所への債権差押命令申立書提出から債権差押命令の発令まで最短で平日4日〜平日10日程度です。

なお、債務者となった会社は申立から1年以内にいずれも倒産しており、通常訴訟と仮差押の併用では債権回収できたか微妙な事案であったといえます。

各申立の請求債権額は約280万円(申立債権者1名)〜約60万円(申立債権者2名の合計)となっており、今後も比較的少額な事案でも状況が許すかぎり積極的に一般先取特権に基づく債権差押命令申立を試みるつもりです。この申立書作成の料金体系としては、通常訴訟の書類作成と同様に請求額と支払額に対する一定率の合計によるほか、書類の作成枚数で計算した料金とを比較していずれか低い方とすることで、依頼人の負担の低減をはかります。

しかし、申立が失敗すれば実費が確実に無駄になるため、依頼人がお持ちになる書証については依頼人の見解はさておいて、かなり厳しく吟味します。できるかどうかとにかくやってみろ、という依頼も司法書士法上拒否できませんが、この場合は書類作成の都度料金をお支払いいただくことになります。

また、依頼の状況として緊急を要することも多いのですが、当事務所では依頼から3日以内の手続き開始について10万円の特急料金、7日以内の手続き開始について3万円の急行料金を、所定の料金とは別にお支払いいただいています。

以上のような制限があっても、この手続きが利用できる場合にはご利用いただいたほうが依頼人にとってはいいことだ、と筆者は考えています。

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参考文献

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これは労働問題解決への法的手続を説明するコンテンツです

社労士・司法書士の相談・書類作成費用名古屋市〜東京・大阪

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