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6.雇用保険の扱い(特に離職時の手続き)

【重要】
 使用者側が労働者を雇用保険に加入させていない場合にも相応の対応策があること
 そのうえで、離職理由の届出を正しく行わせること

 司法書士事務所での相談としては、さしあたり以上の二点が認識しておきたい。 被保険者資格の取得と離職の手続きを正しく行わせることで、得られるはずの失業給付が得られない事態の発生を阻止する。そのうえで、できるだけ特定受給資格者への該当性を確かめておく。

相談事例として被保険者にならない者は
 農業などで、季節的に雇用される者
 昼間学生
 不法就労者・不法滞在者

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6.1.雇用保険被保険者資格の確認請求・確認照会

 会社が労働者について雇用保険関係の届出をしないまま離職させた場合に、職安は労働者に対し雇用保険失業給付が得られるよう積極的に指導することは少ない。
 特に大規模庁・若年労働者について顕著かつ冷淡。
 上記のように使用者側・職安とも積極的に動かず、労働者が雇用保険被保険者資格を取得できたはずなのに取得していない場合には職安に対し、『被保険者資格の確認請求』を行う(雇用保険法8条)。このことで、過去に遡って被保険者資格があったことの確認を得ることができる。

 手続きそのものは書式一枚に簡単に記入するだけなのだが、確認請求をしたいと言わないと用紙が出てこない。積極的に申立を阻止しているわけではない模様。
 倒産後の会社等で会社側に手続き担当者がいない場合でも、最終的には職安が職権で離職票を出し、失業給付につながる。資料のとおり判定して被保険者期間の条件を満たすなら、躊躇無く確認請求を実施すること。

 確認請求から職権での離職票発行までは最速で2週間程度だが、事業主側が妨害した場合にはさらに遅延する可能性がある。過去に遡って被保険者期間が認められた場合には労働者負担分の保険料支払義務が発生するが、賃金額の0.6%程度(年による)なのでさしたる負担とはならない。

 確認請求に至らない場合でも、労働者が雇用保険被保険者としての手続きがなされているか否かについていつでも職安に紹介して、文書で回答を得ることができる。
 照会をおこなったことは使用者側には発覚しないので、気楽に利用すればよい。
 雇用保険法に直接の根拠はないが、雇用保険被保険者資格の確認照会という

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6.2.離職理由の判断

 自己都合で退職した場合には雇用保険失業給付に3ヶ月の給付制限がかかる一方、解雇・倒産等による退職者を『特定受給資格者』、有期雇用契約による雇い止めに遭った者を『特定理由離職者』としている。該当すれば、給付制限にかからない。

 自己都合で退職した場合には、離職前の2年間で被保険者期間が12ヶ月以上(失業給付を受けていなければ、複数の使用者間で被保険者期間を通算可)あることが失業給付の受給資格を得るために必要。
 これに対して、特定受給資格者・特定理由離職者については離職前1年間で6ヶ月以上の被保険者期間があればよい。

 企業側で厚生労働省関係の補助金を受けている場合、労働者を解雇すると補助金が受けられなくなることがある。企業側が離職理由を偽る誘因は解雇予告手当支払い免脱のほか、ここにもある。
 逆にこの点を突いて有利な解決金を勝ち取る(退職理由を合意退職とするかわりに、解決金を上積みする)ということを考える交渉相手も現れることになる。

6.2.1.見かけ上自己都合であっても、特定受給資格者にあたる場合

 下記の理由がある場合には、自己都合で退職届を出していてもかまわない
 (離職もやむを得ない、と考えてくれる)

主に相談に現れるものとしては

①賃金の一部の不払い
 月々の支払額の3分の1を超える額の支払が遅滞し、2ヶ月以上続いた場合

②賃金の切り下げ
 支払われる固定給が、従前の85%未満に低下する場合
(合意による賃金カットなどの場合。欠勤・出来高制・残業による変化を含まない)

③直前3ヶ月に、連続して毎月45時間を超える法定時間外労働の発生

 上記に該当しそうな場合、その状態に達するのを待って直ちに自己都合退職することも考慮する。その後に所要の法的措置をとって未払い賃金等が回収できても、失業給付を返還する必要はない。
 賃金等の不払い額が少ない場合、(雇用保険失業給付で当座の資金需要が満たされてしまうため)雇用保険の手続きのみ正しく誘導して相談終了とすることもある。

 使用者側が離職理由・在職期間などの事実をめぐって職安に事実に反する報告をした結果、職安による調査が失敗しそうな場合、通常訴訟・労働審判を利用してその判断または和解等の内容を提供し、妨害を排除できることがある。
 雇用保険給付の時効消滅を阻止する必要があれば、雇用保険法上の審査請求(同法69・74条)と裁判手続きを併用する。

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このコンテンツは平成25年10月に、業界団体で実施した研修の教材です。
司法書士の研修のために講師として作成していますので、一般の方に有用でないこともあります。

個別の問題については、有料の相談をお受けしています。

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Last Updated :2013-12-06  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.