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いつ、どこの裁判所に行ったらいいのでしょう?

裁判というのは日曜日はやってないのか?とお客さまに聞かれて面食らったことがあります。残念ながら裁判所も一般の官公庁と同じように、平日の昼間しか仕事をしていません。

では平日の昼間ならいつ傍聴に行ってもよいのでしょうか?そうではありません。ここでは、当事務所への主な依頼である『給料未払いをはじめとする、労働紛争』の傍聴に適するかという観点からどの裁判所を選べばよいかを考えていきましょう。

裁判所の所在地および種類

まず、単にご自宅最寄りの裁判所を探したい、というだけなら下記リンクから検索できます。
http://www.courts.go.jp/map.html

さて、現状では簡易裁判所だけで約400超が、北は北海道稚内市から南は沖縄県石垣市まで全国津々浦々に存在し、このほか地方裁判所・家庭裁判所およびその支部(ならびに、家庭裁判所の出張所)、高等裁判所およびその支部、最高裁判所があることが上記リンクから知ることができますね。

残念ながらこれらのどれもが傍聴に適するわけではありません。まず最高裁判所は東京に一つしかないのと、事実に関する審理(証拠調べなど)を行わないためこのコンテンツでは無視していいでしょう。家庭裁判所は家族や相続に関する紛争を扱うところなので、これも説明しないことにします。残りの簡易裁判所・地方裁判所・高裁はどうでしょうか?

まず、給料未払いをはじめとする労働紛争その他民事上の紛争に関する裁判は、その請求額の大きさに応じて簡易裁判所(請求額140万円以下)か地方裁判所(請求額が140万円をこえるもの)のいずれかの裁判所に最初に起こされることになります。したがって、これから民事訴訟に関わる人が傍聴するのは、まず簡易裁判所か地方裁判所がいいということになりますね。

傍聴に適しない裁判所

つぎに、裁判所にも忙しいところとそうでないところがあります。より具体的には、月曜日から金曜日の毎日なんらかの訴訟の期日を開いている(つまり、毎日傍聴ができる)裁判所と、一週間に一回、毎週一定の曜日にのみ裁判官が他の裁判所からやってきて数件の期日を開くだけ、という裁判所があります。至って当然ながら、後者に傍聴にでかけても自分にとって役に立つような訴訟に巡り会えない可能性が高まります。どうせ傍聴に行くなら、多少無理してもたくさん期日が開かれているような裁判所に行かなければなりません。この点から、まず傍聴先に選ぶべきでない裁判所が出てきます。

まず、先ほど挙げたリンクから各地方裁判所のリンクをたどり、窓口一覧のページに行ってみましょう。下記はさいたま地方裁判所の例です。
http://www.courts.go.jp/saitama/about/syozai/index.html

これをみると、たとえばさいたま地方裁判所はさいたま簡易裁判所と同じ場所にあることがわかりますね。

さいたま地方裁判所越谷支部は、越谷簡易裁判所と同じ場所にあります。これもわかります。

川口・大宮・所沢・本庄各簡易裁判所はどうでしょう?簡易裁判所だけがあって、地方裁判所の支部がないことになります。

つまり、世の裁判所には地方裁判所と簡易裁判所が同居しているところと簡易裁判所だけがあるところがあることがわかりました。少なくとも傍聴にでかける目的地としては、簡易裁判所だけがある裁判所に行くべきではありません。そこでは『地方裁判所での訴訟は絶対見られない』という当然の理由のほかに、こうした簡易裁判所だけの裁判所は特に地方では毎日期日を開かないことも多いからです。

ですから少なくとも、地方裁判所またはその支部がある裁判所に傍聴に行くのがよいでしょう。ただし、地方裁判所の支部も地方では事件数が相当少ないことは『法廷傍聴に行こう』24ページの統計から想像できると思います。かんたんに言えば田舎に行けば訴訟は少ないに決まっているわけですから、なるべく大都市の裁判所を選んでください。

傍聴に適する裁判所

一般的な民事訴訟の傍聴がしたいだけならば単純に大都市の裁判所を選べばよいのですが、労働紛争についてはさらに傍聴に適する裁判所があります。

なぜなら、東京・横浜・名古屋・大阪・福岡の各地方裁判所では給料未払い・解雇などをはじめとする労働事件を専門に、あるいは集中させて扱う部を持っているからです。労働関係の事件数が多いからそのような専門部あるいは集中部があるわけで、これを傍聴希望者からみれば上記各裁判所ならコンスタントに労働関係の訴訟が傍聴できることになりますね。それでも、筆者の事務所がある名古屋で地方裁判所でさえ労働関係の訴訟の期日は一日に数件、証拠調べは毎日1件程度だと思います。名古屋簡易裁判所ですと少額訴訟・通常訴訟をあわせても労働関係の訴訟は、一日に一件あるかどうかではないでしょうか。

つまり残念ながら、地方都市の地方裁判所支部および簡易裁判所になんとなくでかけても労働関係の訴訟の期日は一つも見つからないのが普通でして、これはどうしようもありません。労働関係の訴訟で、一日に複数の証拠調べがあってそれらを選んで見られるのは東京と大阪の両地方裁判所くらいでしょう。これらの裁判所は特に傍聴に適するといえます。

つぎに、極めて珍しいのですが福岡地方裁判所だけは月曜日から一週間ぶんの期日の予定をまとめて閲覧できるようになっています。つまり、月曜日に情報収集にでかければ金曜日までの期日が全部わかるため、自分にとって興味がある事件を見つけやすいということができます。これは平成21年12月までの実情でして、今後どうなるかはわかりません。なお通常は、各裁判所では当日の期日の予定のみを閲覧することができます。福岡地方裁判所でのこの方式が続くかぎり、福岡地方裁判所も目的意識を持った傍聴に適する裁判所と言えるでしょう。

期日が開かれる時間

ここまでのことを参考に、傍聴にでかける裁判所が決まったとしましょう。では何時頃に裁判所に行くのがいいでしょうか?

一般的には、午前中なら10時ごろから11時30分にかけて、午後なら1時過ぎから2時頃にかけて期日の開始時間が定められることが多いので、この時間帯を外さないようにしてください。

また、証拠調べ(証人尋問など)で時間がかかるものや、和解の成立に向けて裁判官が説得を開始しているような事案については、午後3〜4時頃から5時前まで期日が開かれていることもあります。事件数が少なく証拠調べもないような裁判所の場合、午前10時半〜11時頃に全ての期日が終わってしまうこともあります。

ですので筆者は、お客さまが高等裁判所所在地クラスの大規模な裁判所で一日傍聴をして過ごせるような場合には次のようにすることを提案しています。

  1. 午前10時前に裁判所へ行って、開廷表(後述)で午後までのめぼしい期日をチェック
  2. 10時〜10時半頃 簡易裁判所を中心に、第一回期日を傍聴。膨大な件数が流れ作業的に処理されるのを見てもらう。
  3. 10時半〜12時 地方裁判所を中心に、第一回期日または続行する口頭弁論期日を傍聴。一期日が数分で終わるようすを見てもらう。この時間帯は、運がよければ簡易裁判所で少額訴訟の期日または地方裁判所での比較的短時間の証拠調べの期日が見つかる。そちらを一件、開始から終了まで見るのもよい。
  4. −昼食−
  5. 13時〜16時過ぎ 主として地方裁判所で、2〜3件の証拠調べを傍聴。法廷から法廷に渡り歩くが、少なくとも一つは『尋問の最初から』もう一つは『尋問の最後まで』見てもらう。このようにすることで、証人が宣誓するところから反対尋問の実施状況までが一通り、しかも複数の事案で観察できる。少額訴訟の期日で興味深いものがあれば、最初から傍聴するならば傍聴してもよい。
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Last Updated :2013-06-25  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.