行政書士への相談内容証明郵便など書類作成のための相談

労働相談としては、あえて利用する意味がない選択肢です。
依頼しようとする事務が支払額が数万円を超える可能性がある成功報酬制をとる場合、特に利用を推奨しません。未払賃金や残業代の請求について内容証明を出す業務で、特に注意を要します。

行政書士は主として内容証明郵便の作成をする、という形で労働紛争の解決に関わろうとします。このため、残業代そのほか未払い賃金の請求、不当解雇、パワーハラスメントなど、とりあえず書面で相手に要求を送ることができる紛争であれば何かの依頼や労働問題の相談をできそうに見えます。

行政書士の資格で合法的に可能なのは、相手に直接だす書面を作って送る、というところまでであることに注意が必要です。訴状など裁判所に出す書類は司法書士・弁護士が作成できるもので行政書士は作成できないことになっていますし、あっせん申立書は社会保険労務士が作成するものです。

内容証明の作成はできるといっても、記載することがらについて法律上の判断をしてはいけない(その行政書士が解雇が無効か判断したり、残業代の計算方法について行政書士が独自の意思決定はできない)ことに気をつける必要があります。行政書士の内容証明は、あくまでも依頼人が主張する内容で作成するだけのものです。

つまり、法律上の争いに巻き込まれていて誰かの判断を求めている=相談を必要とする労働者が本当に必要な相談を、行政書士は『できない』ことになっています。ただ、そう言ってしまえばお客は来ません。

このため、この制限を真っ正面から破る・厳密に守ると宣言するウェブサイトはそれぞれ、あまり多くありません。

内容証明を送ったが相手から反応がなく、裁判手続きに移らざるをえなくなったとき、自分から他の士業の事務所への転送・紹介をおこなうという事務所は良心的です。ならば最初からそちらの事務所に依頼したほうが無駄がありません。

行政書士のなかには訴状作成の支援やアドバイス・サポートと称して、裁判書類の作成に関与しようとする人もいます。これも違法です。

それでも使いたいなら使ったら?でもどうなったって知らないよ、と労働相談に来る方には申し上げるしかないのですが、合法ではないため堂々と活動状況をアピールできない以上、ウェブサイト等の公開情報から技量や経験を判断することができないところに難点があります。
違法だから使うな、とはいいません。あなたに対する応答の内容や態度から、慎重に判断してください。なんとなく状況に流されてそのまま依頼した、でも知らないうちに、裁判書類を作れない人に訴状作成を依頼していた、というのが最悪です。

行政書士への依頼費用はまさにいろいろです。

  • 1万円から数千円程度で済む
  • 依頼を受けた時点では無料で、支払い実現時に10〜20%の成功報酬をとる
  • 一ヶ月あたりの費用を定めて、残業代の計算を行う

このような事務所がウェブ上では確認されています。基本的には行政書士が作って送る書面が労働紛争解決で決定的な役割を果たすことはないので、それを考慮して使いたければ…ご随意に。

ページトップへ戻る
ページトップへ戻る
Last Updated : 2018-08-09  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.