労働相談業務 > よりよい労働相談のために(目次) > 間違いだらけの事務所選び > いけないこと、やってます

いけないこと、やってます依頼人のため…ではないようです

司法書士による過払い金の返還請求で、特に問題になった事例です。
司法書士による残業代の支払い請求でも、問題になりうると考えねばなりません。

司法書士が法律相談を受けたり代理人として振る舞えるのは、140万円までの金銭の請求をする場合に限られます。
たまたま受けてしまった過払い金返還請求のご依頼、計算してみたら請求額が200万円あった…どうしましょう?

残念ながら、ここで何らか適切でないことをしてその依頼で代理人のように振る舞い続け、それが発覚して懲戒されたり訴えられたりする司法書士も出たのです。「過払い金」を「残業代」に置き換えれば、同じ可能性が考えられるでしょう。依頼を受ける司法書士の側で順法精神が高くないなら、こうしたことは過払い以外の分野でもありうるのです。

これは、担当できる業務に制限がある士業=弁護士以外の全ての士業が直面している問題です。
自分ができること・できないことを熟知してそれに従うか適当に無視するかはまさに各人の判断による、というのが実情なので(当然ながら皆さん法令を遵守すべきですが実情は違います)、依頼をしようとする労働者の方にもしっかりしていただくよりほかありません。

行政書士が訴状や支払督促申立書の作成をする、ということは昔からよくあります。
社会保険労務士が労働相談の延長として労働審判手続申立書を作ってしまう、ということは最近あるようです。

これらは法違反で、本来ならやってはいけないことです。

依頼人自身がその士業に対して「やってはいけない業務だが、あえて発注する」というならもう筆者が止めようがありません。あなたが事件屋や暴力団に紛争解決を依頼するのをわたしは止められない、というのと同じです。

うっかりして「本来その事務所がやってはいけない業務を、それと知らずに依頼して失敗する」ことは慎重に避けてほしいと考えています。
これは「私の紛争について、これからあなたの資格でできることはなんですか?」と真っ正面から聞いてしまえばよく、おかしな言い訳をしてくる奴とはつきあわなければいいだけです。

ページトップへ戻る
ページトップへ戻る
Last Updated : 2018-08-10  Copyright © 2014 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.