債務名義以外に必要な書類

債権差押命令の申立にあたって、債務名義をはじめ裁判所で取得する書類以外にも準備しておかなければならない書類があります。代表的なのは債務者や第三債務者が法人である場合の、登記事項証明書です。

登記事項証明書

ここまで説明した書類が整ったとしても、他の書類が手には入らないという理由で強制執行の手続きを始められないことがあります。

相手や第三債務者が法人(会社や医療法人など)である場合にはその法人の登記事項証明書を取得する必要があります。登記事項証明書は、その法人が別に登記の申請をしている期間中は発行されません。

たとえば、銀行預金の差し押さえを試みたい場合に、その銀行の登記事項証明書がたまたま発行されない場合を考えてください。金融機関で役員や支店の変更などの登記申請がなされていることは、常にあり得ます。登記事項証明書は発行から三ヶ月以内であれば利用できますので、強制執行に関する申し立てをすると決めたら計画的に取得しておくことをおすすめします。

会社を相手にして債務名義を取得したあとで、その会社の本店所在地や商号が変わることもあるでしょう。法人の場合は、登記事項証明書に本店所在地も商号も記載されますので登記事項証明書を取得することで変更前後の本店所在地や商号が読みとれることがあります。

ただし、なんらか不正な目的で商号と本店を何度も変えているような場合には、変更前の管轄法務局で閉鎖事項証明書を発行してもらって、債務名義に記載されている商号や本店所在地と、現在の商号や本店所在地が連続していることを明らかにする必要があります。

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住民票・戸籍謄本

債務名義を取得したあとで相手や自分が住所を移転していた場合には、債務名義に書いてある住所と現住所のつながりが読みとれるように住民票または戸籍の付票を取得する必要があります。

債務名義になるものを持っていれば債務者(相手)の住民票は市区町村役場の窓口で取得できるのですが、これは郵送での申請が難しいようです。債務名義など、債務者と債権者との関係をあらわす書面を添付して郵送での申請に応じてもらえるかは個別に役場と打ち合わせる必要があるでしょう。

離婚や再婚にともなって自分や相手の名字が変わることもあります。この場合も、債務名義に記載されている名字と現在の名字が連続していることがわかる戸籍謄本等を添付することになります。
ですので、自分のであれ相手のであれ住民票を取得する際にはかならず、本籍と生年月日を記載した住民票を取得するようにしておいてください。

このコンテンツで述べた全手続き中、相手の住民票・戸籍謄本の取得だけが郵送申立が不可能かもしれない作業工程になっています。この場合はご自分で債務者の住所地の役場に行って取得することを検討するか、住民票を職権で請求できる弁護士や司法書士に強制執行関係の申立書類の作成や代理を依頼せざるをえません。弁護士や司法書士も、住民票や戸籍謄本の取得だけを代行することはないからです。

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Last Updated :2013-06-23  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.