債権差押命令申立の流れ申立書提出から終了まで

先に説明した適切な時期に債権差押命令が第三債務者に届くようにするために、手続きの流れを考えて行動する必要があります。

申立書類が完備されている場合、債権差押命令申立の流れは以下のようになります。

債権執行 申立書提出〜終了の流れ債権差押命令・少額訴訟債権執行とも同様

  1. 裁判所への申立書提出から債権差押命令の発令まで 1〜2開庁日(月曜日に提出したら火〜水曜日に発令)
  2. 発令された債権差押命令が郵送される期間 通常の郵便事情に従い、1〜2日(同一市内なら翌日に送達)
  3. 第三債務者への送達から1週間程度遅れて、債務者へ債権差押命令の送達
  4. 第三債務者への送達から1〜2週間程度で、差押債権の有無等を記した陳述書が裁判所に提出される
  5. 陳述書提出の数日後、裁判所から債権者に債権差押命令(債権者に送達される分)・第三債務者作成の陳述書・裁判所作成の送達証明書が送付される
  6. 送達証明書に記載されている債務者への債権差押命令送達の日から1週間経過日以降、債権者は第三債務者と交渉して、差押が成功した部分の取立をおこない、直接お金を支払ってもらうことができる(競合する債権執行・滞納処分がない場合。競合がある場合は配当の手続きに入る)
  7. 差し押さえた債権の取立後、裁判所に取立届を提出
  8. 全額の取り立てが終わったなら、取立完了届を提出して手続き終了
  9. 差押債権がなかったり、一部しか取立を終えていない場合は、取下届を提出して手続き終了。同時に、使用した債務名義等の返還を受け、次回の申立を準備する(または、あきらめる)

これはあくまでも「申立書類が完備されており、補正の指示がない場合」の話です。書類に不備があれば、債権差押命令申立書の提出から1〜2開庁日後に補正の連絡が電話で入ります。その補正を終えた翌日に発令になることが一般的です。

以上の流れをみたとき、債権差押命令が出たあとに債権執行の手続きが遅れる理由としては『第三債務者が陳述書を出すのが遅い』『債務者が送達を受け取らない』の二つが代表的なものになります。手続きに不慣れ、または悪意をもって妨害を企てる個人や零細事業主が関わる債権執行でこの可能性は高まりますが、債権者から働きかけて確実に手続きを促進できる手段はありません。

簡易裁判所に申し立てる少額訴訟債権執行も、流れは債権差押命令申立とほぼ同じです。

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送達時期の調整

初めての債権差押命令申立で申請書類の訂正が発生するかもしれない、しかし第三債務者への送達の日はなるべく希望通りにしたい、などの理由で、余裕をもって申立書を提出するかわりに裁判所から第三債務者のところに債権差押命令が送達される日を調整したい場合があります。

この場合には、申立書の提出自体を早めにおこない、裁判所からの債権差押命令の発送をこちらが指定する平日にしてもらうことは可能です。

発令する裁判所から第三債務者への距離が遠い場合には、別に郵便切手をおさめることで速達によって債権差押命令を送達してもらうこともできます。これらのことについて、上申書を別に提出するのが必要な裁判所と単に窓口で口頭でお願いすればよい裁判所があります。上申書自体は出しても邪魔になることはありませんので、特に郵送で債権差押命令申立書を出す場合には必ず作って添付しておくようにしてください。

なお、平成25年6月時点で郵便事業会社のウェブサイトには、特別送達(裁判所から債務者・第三債務者への郵便物送付に用いられる。受け取りの日時と受取人の氏名の記録が裁判所に備え置かれ、日曜・休日も配達される配達の方法)と配達日指定のサービスが併用できる旨の情報が出ています。つまり、裁判所から第三債務者までの配達にかかる日数が配達日指定のサービスの利用条件を満たすなら、制度上は配達日を指定することも可能だ、ということになるでしょう。

当事務所ではまだこの手法を採ったことはありませんが、この場合も上申書を上げて配達日指定を利用したい旨と希望の配達日を指定し、配達日指定に要する追加の切手を予納すれば利用可能だと考えます。

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Last Updated :2019-03-03  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.