給料(賃金)

債務者が労働者の場合、勤め先から支払われる給料その他のお金を差し押さえることは制度上可能です。この場合、勤め先の会社が第三債務者ということになります。

ただし、まれに違法覚悟で労働者に協力して差し押さえに応じない会社もあります。零細企業につとめている場合には、給料を差し押さえることが有効か慎重に検討する必要があります。

養育費の差し押さえを除いて、債権差押命令が第三債務者である勤め先に送達された時点で債務者から会社に対して発生していて、まだ会社から支払われていないお金の請求権が差し押さえの対象になります。

したがって、賃金計算の締め切り日が毎月20日、その月の25日に支払われる場合には24日に債権差押命令が勤め先に送達されると、25日支払予定の賃金が捕捉できることになります。さらに、21日から23日までに就労しているため来月25日に支払われる賃金にも差し押さえの効力が及んでいます。

同様に、賞与についても支払時期がわかっているならなるべくその直前に債権差押命令が送達されるよう準備する必要があります。
上記の賃金計算期間の例で、仮に債権差押命令の送達が26日になり、労働者がその会社をただちに退職した場合はどうなるでしょう?
この場合、差し押さえの効力がおよぶのは21日から25日まで就労にもとづく賃金のみになってしまいます。

小さな会社で債務者が名目上の役員になっている場合には、給料ではなく役員報酬としてお金が支払われていることがあります。両者は差押債権目録(後述)の記載が全く異なるため、給料だと思ったら実は役員報酬だった、ということで差し押さえが失敗することのないように、第三債務者の商業登記事項証明書の役員欄にも目を通して債務者が役員になっていないかチェックすることをおすすめします。

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Last Updated :2013-06-23  Copyright © 2013 Shintaro Suzuki Scrivener of Law. All Rights Reserved.