住宅売買・購入司法書士が登記費用の見積もりをするために、提供してほしいデータ

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『他の』司法書士を探しましょう

これから利用する金融機関では『司法書士は自分で選んで構わない』と確認したら遠慮なく、かつ迅速に、他にも見積りを取ってみましょう。

 できれば、決済の日1ヶ月〜2週間ぐらい前までに依頼先を決めているのが理想です。理由としては

1.金融機関での融資実行・決済(立会)の日に、司法書士の予定がふさがってしまうことがある
 →せっかくいい見積をあげる司法書士に出会っても、予定が合わなければ頼めません。

2.金融機関・不動産業者などの担当者が不安になる
 →ただでさえ、お客が勝手に司法書士を選ぶ、というのはこの人達はいい気がしません。

3.重要な書類が揃わないことがある
 →これが一番大変なのですが、司法書士や不動産業者、金融機関の担当さんたちは決済日の2週間ぐらい前には、取引の場にもってくるべき書類(印鑑証明書・住民票・資格証明書など)の見当をつけておきます。この指示は当然ながら立会を仕切る司法書士が出す(責任が司法書士に来る)ようになっています。

こうしたやりとりはだいたい、決済の日2週間ぐらい前までには始まります。ですからこの時点で司法書士がいないと、他に困る人が出てくるのです。

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見積依頼に必要なデータ(住宅の売買・買い主側)

 なんとなく「こんど家を買うんですが登記にはいくらかかるんですか?」というお尋ねは多いのですが、これで答えが出せる司法書士事務所はごく少数です。よほど思い切った定額制の報酬体系を採っているところだけでしょう。

一方で、相手に渡すお金=契約上の売買代金は司法書士にお知らせいただく必要はありません。

 司法書士から正確な見積りをとるために必要なデータは次の通りです。これらがなければまず比較に耐える登記費用の見積りは集まりませんので用意しておきましょう。
住宅購入の場合、土地建物の評価証明書は不動産業者がすでに持っているはずです。

土地について

  • 土地の数(売買契約書記載の、地番で分けられる土地の筆数)
  • 固定資産税の評価証明書記載の『価格』

このほか、公衆用道路など固定資産税が課税されない土地を購入するときはそのことも伝えてください。

建物について

  • 新築か、中古住宅か(評価証明書が取れる物件か)
  • 自分で住むための住宅か(減税証明書を取るか)
  • 未登記で評価証明書が取れない場合は、その建物の構造(木造・軽量鉄骨造など)・床面積・用途(住宅以外での利用があるか)
  • 中古の場合は、固定資産税の評価証明書記載の『価格』
  • マンションの場合は敷地権や土地の共有持分の割合と、敷地になっている土地の評価証明書記載の価格

抵当権について

  • 金融機関と借り入れる件数ごとに、いくら借りるのか(債権額)

登記申請について

  • 申請する不動産の所在地
  • 決済の日時と場所

 これらは買い主側に必要な申請費用を見積もるために必要なのですが、登記申請全体を進めるために売り主側が今借りている抵当権の抹消、あるいは売り主の住所の変更登記その他の手続を行う必要が出てくることもあります。
これを尋ねられたときのために
土地および中古住宅については、売り主が登記済証(権利証)あるいは登記識別情報を持っていそうか
その不動産の、全部事項証明書(登記簿謄本)または登記情報の写し
があれば完璧です。

 というより、ある程度周到な不動産屋さんなら重要事項説明書に評価証明書や全部事項証明書のコピーを全部つづってお客様に渡してくれるはずです。
さらに「売り主さんが権利書なくしちゃったんですけど」などと、買い主に聞かれてから言う零細な不動産屋とはつきあわない方が無難です。そんな売り主の中には本当に紛失した人もいれば、犯罪者もいますから。

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値段以外に違いはあるか?

 皆さんが司法書士になにを求めているか、によります。
ここでは不動産業者が関わって住宅を取得する場合に限って説明します。

 「今回だけ、いま必要な不動産登記だけできればいいんだ!」というなら純粋に値段のみで決めて全然構いません。
なぜなら、実現すべき成果が『所有権移転および抵当権設定登記の終了』という誰がやっても同じ結果への到達なのですから。

登記済証(権利書)や有効な登記識別情報を持っていて身元の確かな人や真っ当な会社から不動産を買い、普通の金融機関の住宅ローンを利用する、というだけならば、その登記申請を司法書士が失敗したり登記を怠ってあなたに損害を与えるようなことはありえません。
その司法書士が本当に有資格者である限り、そこまで低レベルな失敗はしないでしょう。

住宅売買の登記では『司法書士は専門的サービスを提供しているから報酬が高い。安かろう悪かろうの事務所はおすすめしない』という業界側からの言い分には説得力がありません。
個人が住宅を取得するために土地建物を買い、あわせてお金を借りるというのは、登記申請のかたちとしてよくあるものだからです。

 これに対して皆さんが、もしも相続や離婚など別の問題を抱えていて
これ(不動産登記の依頼)を機会に、「なにか困ったときには相談できる法律関係者と知り合えたらいいな」と考えていたならどうでしょう。

 これはたいへん難しいことになります。司法書士の数だけ違いがありますから。
この場合に1つだけ言えることは、『司法書士と話ができない』(いつも事務員が出てくる・出てくる人がちがう)事務所は絶対避けた方がいい、ということです。これに気をつけながら、なるべく多くの事務所に見積依頼を出して感触を探ってみてください。説明がわかりやすくて態度が取っつきやすそうな司法書士なら、まず大はずれはしないと思います。事務所の事務員ではなく、司法書士本人と話ができるかどうかに注目してください。

 この場合、事務所の規模の大小は不問としましょう。
なぜなら今後注目しなければならないのは、その司法書士本人があなたにどれだけ時間を割いてくれるか、なのですから。
この点で『多忙・高額・もうかっていそう・事務所やウェブサイトが綺麗』な事務所(の大センセイ)が素晴らしいかどうかはわかりません。

債務整理をめぐって有名雑誌のランキングに載った大きな司法書士法人で、設立から数年を経て創立メンバーが消えて新しい構成員に変わり、さらに数年で解散して消滅したところを筆者は知っています。雑誌で紹介された大きな司法書士法人なら安心、ということはないのです。

 大きな問題や自分が対処できない問題なら、他の事務所に依頼を出せればいいと考えましょう。皆さんが司法書士に求めるものが「自分にとって、最初に法律問題を相談できる人」である場合、それで困ることはありません。あなたとのちょっとした話の中から異常を感知できる能力があれば司法書士として、あるいは事務所としてそれを処理できなくても構わないと思うのです。

 これは、お医者さんを選ぶのと同じかもしれません。
3時間待ちの3分診療の大学病院がいつも誰にとっても素晴らしい、わけではないはずです。

 あなたが不動産業者か賃貸経営を目指すような事業家で、ビジネスの相手として司法書士を探そうという場合についてはこれは全く当てはまりません。

 この場合は、その司法書士が作ったシステムとしてのその事務所が適正な値段と品質で、あなたの望むサービスを生み出すものであればいいわけですから。別に司法書士事務所である必要すらありません。「必要なときには司法書士に依頼を中継できる税理士やコンサルタント」だってよい、ということになります。そこはドライに判断していただいてかまいません。

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そもそも司法書士の報酬は、どうやって決まる?

 業界内で統一された報酬額基準が廃止されて、司法書士は自分で報酬額を決めることになっていることは別のページで述べてきました。ここでは日本司法書士会連合会発行の『報酬の手引き』(平成14年10月版)から、基本的な考え方ををたどってみましょう。

報酬額基準廃止前までの方法

 登記申請ごとに決まる『基本報酬』と、一定額の『手続報酬』を加算するやり方です。
基本報酬は、所有権移転登記をする不動産の価格や抵当権設定登記の際の債権額が大きくなれば増加します。

報酬の決め方としては負担力主義、と言えるでしょう。お金をたくさん負担する力があって多額な不動産取引を行う方は、手数料も多く負担していいのではないか、という考え方です。

 この報酬体系は、ウェブサイトによくある『所有権移転登記 ○万円から』という表示には馴染みやすい面があります。

もっとも、利用者からみると肝心なことは何も言っていないのと同じです。

 廃止前の報酬額基準には『文案を要する書類作成』という項目がありました。
付属書類などで文案を要する書類作成について数千円、要しないものについて数百円程度の設定がしてあり、登記申請に必要な登記原因証明情報や委任状など付属書類の作成をするだけ報酬額が増えていく、という構成になっていたのです。

このため、昔の報酬額基準を参考に報酬体系を定めている事務所で最終的にお客様に提示される見積や領収書の表示は、インターネットでみる報酬の表示を見て普通の人が単純に考えた合計より常に多く見積が提示されてしまうのです。

こうしたことがわかっていないまま、古い報酬基準額表を手に入れた素人のウェブサイトで時折、『基本報酬』だけが登記費用だと読み取れるような解説をしているものがあります。
これは、業界の実情をよく知らない人にウェブサイトやその文章を作らせるコンテンツマーケティングの弊害です。そうしたウェブサイトでは見かけ上異常に安い報酬を前提に解説がなされていますが、実際にはそんな報酬の事務所は発見できないことになっています。

申請の類型ごとに定額報酬を定めるが、算定根拠が独自のもの

 「所有権移転登記の報酬:5万円」など登記申請ごとに定めはあっても、その決め方が廃止前の報酬額基準とは全然異なる場合です。あえてこれを採用した事務所はそれなりの思惑をもっているはずなので、この場合はもう素直にその事務所の算定基準の通りに計算するしかありません。

 

 この場合も注意する必要があるのは、登記申請に必要な添付書類や契約書を作ったり、書類を補充した場合に別に費用が発生するかどうかです。
これが全部含まれているのであれば、報酬体系としてわかりやすいものにできる可能性があります。

 当事務所は見かけ上、このタイプの報酬体系です。金融機関から交付される用紙への補充や委任状の作成など、ごく普通の登記申請に含まれる添付書類の作成や補充は、当然含んで書類作成の料金を決めています。その作業が発生することは、経験上予測できるのですから!

 ただし、別の算定基準を導入しています。それが「関係当事者の人数」です。関わる人間の数が増えるほど登記申請に手間がかかるはずだ、という当事務所の思惑が入っています。

 こうした「全然異なる報酬体系をもつ事務所」であっても、行うべき登記申請は他の司法書士と全く同じです。
最低でも所有権移転・抵当権設定などの登記申請ごとに費目が別れ、司法書士の報酬と登録免許税などの必要経費が表示された見積もりが提示されますので費用の比較は可能です。
万一「所有権移転および抵当権設定一式○万円」などとしか書いていないようなら、示された登記費用がよほど安くない限り採用しないほうがいいでしょう。すでに信頼関係がある方に費用を伝えるような場合を除き、見積もりがいい加減で金額が良心的、という話は聞いたことがありません。

不動産価格の一定率をとるもの

 可能性としては考えられます。相続登記を巡って、この「一定率」を異常に高く請求して問題になった事案がありますから、実在はする、ということになります。

この場合は1000万円の不動産の所有権移転でそのX%の額が所有権移転登記の報酬、というシステムですから、お客様にとっては算定が簡単なことになります。なるほど複数の不動産の相続登記を一気に行う場合には、「動いた権利に対する一定率」で登記費用を計算する方がわかりやすいですね。

 これはお客さまにとっての算定のしやすさと負担力主義を両立させようとする考え方ですが、ウェブサイトではあまりみかけません。登記申請ではなく、関係する契約書の作成でこうした費用設定をする司法書士事務所もあります。

タイムチャージ制

 これは、申請ごとに予想される「本職および補助者の作業時間」を推定し積算し、それぞれの時間あたり賃率を掛けて報酬を請求しよう、という考え方のようです。
『の、ようです』と言わざるを得ない理由として、司法書士に配布された『報酬額の手引き』には詳細にこの計算例が示されているものの、不動産登記でこれをほんとうに採用している人の話を聞かないことと、もし採用したとしても登記申請では「かかった時間」を全面に押し出す必要が感じられないことがあげられます。

 なぜなら定型的な申請がほとんどである不動産の取得(所有権保存または移転)−抵当権設定という一連の申請なら、タイムチャージ制を裏で採用しても申請類型ごとに標準作業時間を算定すれば、実はタイムチャージ制に見えなくなってしまう=○○登記、という申請類型ごとの定額制に容易にたどり着くからです。

 当事務所の書類作成料金は申請ごとに作業分析を行って標準作業時間と賃率を考慮して決めています。そして、見かけとしては申請類型ごとに定額の料金を定めています。タイムチャージ制は司法書士報酬の算定根拠として採用されうる考え方ではあっても、難しい登記申請を除いて表面にでてくることはないでしょう。

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