『名義を変える』ということは…?売買による所有権移転登記を自分でするために

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売買のまえに、売り主と買い主の間できめておくべきこと

 親しき仲にもなんとやら、ではありませんが、たとえ契約書をつくらないにしろ、土地建物の売買において一般的に次のことは決めておいた方がいいでしょう。もちろん契約書を作るか作らないか、もそれ自体重要な合意事項です。
 ただ、売買価格を記載しない契約書には印紙は200円だけ貼ればいいので、これから述べる合意事項だけ契約書にして、200円の印紙を貼って双方保存、というのをおすすめすることもあります。

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売買の目的物に瑕疵があった場合どうするか

 瑕疵=かし(きず)ですね。その物件になんらか異常があって、買い主が目的としていた効用を得るための障害になる場合です。家を買ったら給水設備が壊れていた、というのも瑕疵ですし、土地を買ったら売り主の債務を担保する抵当権の登記が消されずについてきた、というのも瑕疵です。

 ここで予防したいのは、これらのことに説明がなくて買った後気づき、その後もめる、というパターンです。民法上は瑕疵担保責任について規定がいくつかありますが、ことがおこってから条文を引っ張り出して何か言おうとするより、予想できることは当事者間の力関係を生かしてあらかじめ決めてしまったほうがまだ納得ができるのではないでしょうか。
 たとえば買い主が人がいいなら『目的の不動産は現状のまま引き渡し、契約のあとで(瑕疵担保責任の)追及はしない』ということにしてしまってもいいし、たとえば『購入後1年以内に発見した瑕疵については売り主の責任で修補する、とか、その瑕疵のせいで買い主が目的を達成できない場合は、購入時と同じ値段で買い戻す』という決めかたがあってもいいでしょう。
 これらは素直に、売り主と買い主の力関係できまります。私の場合は、お客様の希望をよく聞いてなるべくその実情にあうような契約条項を提案するようにしています。法律でどうこう、というより個人間では調整可能であり、むしろそれを売買契約にあたって決めておくべきだ、ということです。

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不動産を年度途中で引き渡す場合の、固定資産税や管理費の負担

 1年分の固定資産税をはらってしまったあとで、その土地や建物を売り渡すことがあります。マンションの管理費や修繕積立金の、その月の分をはらったあとで月の途中に名義をかえることもあります。
 こうした『不動産の保有にともなって発生する費用の月割り・日割り計算での精算』は考えておいた方がいいです。これも当事者の力関係できめられますから、売買契約の日や引き渡しの日を基準に取って日割で計算するなり、売買価格そのものに反映させてしまって一切精算しないなり、どうにでも決められます。これも、決めておかずにあとになって『法律ではどうなっていましたか?』などと聞くのが一番よくないのです。

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登記と代金決済と物件引き渡しの段取り

 そもそも『司法書士に頼らず自分で登記をする』のが希望なら、まずそのことについて売り主と買い主が合意できるかどうかが最大の問題です。まず売り主さんの合意をとりつけに行って、登記申請の書式を調べるのはそれからでかまいません。
 なお本人で所有権移転の登記申請をする多くの場合は、買い主が、売り主の代理をして申請する形をとることになるので、売り主さんの消極的合意がとれたら、買い主が主導して次のことを見切っておくといいでしょう。

 なお司法書士が関与する場合には、これらの指揮は当然司法書士が取ります。

  1. 売却前の登記情報の調査。ならびに売買のための所有権移転登記の前提として、所有権登記名義人表示変更登記が必要か否か。必要ならば、いつだれが行うのか。
  2. 必要書類はいま何がそろっており、いつごろまでに何をそろえればよいか。とくに売り主への指示。
  3. 登記にともなう登録免許税はいくらかかり、売り主と買い主どちらが負担するか。司法書士に依頼する場合には、司法書士の報酬についてはどうするか。
  4. 特に住宅の場合、中に残っている物品の撤去や処分についてどうするか(あとから発見した場合、買い主が勝手に処分できるのか)
  5. 代金はいつ、どのように支払うのか。住宅なら、かぎの引き渡しはいつか。(一般的には、売り主からの必要書類の引き渡しと同時)
  6. 売り主側の登記で、担保の設定などがなされている場合はいつ抹消してもらえるのか
  7. 登記申請はいつ行うか

 なお4.については、買い主の権利を制限する特約をつくったことが本当にあります。相続して得たマンションを親類に安く売り渡す時に『物件内に残した家具は売り主の生存中は承諾なく処分してはならず、大事に使うこと』というような、です。このあたりは、売り主買い主間の力関係と当事者の思い入れで決まります。聞かせてもらえれば、それを形にするのが『代書やさん』の仕事です。

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遠くの人・あるいは遠くの不動産の登記はどうすれば?

 司法書士は当然行います。一般的には、自分の事務所で依頼を受けて、インターネット経由でオンライン申請、あるいは郵送で登記申請することもできます。ただしこうした場合でも、売り主と買い主はどこかの司法書士事務所に行けることが重要になってきますから、名古屋の売り主と大阪の買い主が東京の不動産を売買するような場合、手配が面倒になってきます。

 ただ私の場合、お客様に交通費をだしてもらってもよその事務所より値段として安く上がる・またはよそよりそう高くならず、お客様の承諾を得られるなどの理由があるなら、私一人で責任処理することがあります。売り主は愛知県・買い主は宮崎県・物件は静岡県という遠隔地の不動産売買の登記を『売り主にも買い主にも直接会いに行き、登記の報酬・日当交通費込み10万円未満』という費用で、全部一人でやったことがあります。

 この例では買い主と売り主が離れて住んでおり、直接立ち会って代金を取り交わすことができなかったこともあって、こういう段取りを行いました。

  1. 司法書士は売り主さんと会って不動産売却の意思を確認。書類一式を前もって受領。
  2. この際に、売り主さんの利益を守るために『代金○万円の振り込みがなければ、登記手続きをしない』契約を司法書士−売り主間で締結
  3. 買い主さんと会って不動産購入の意思を確認。書類一式を前もって受領。おなじく『代金○万円の振り込みがなければ、登記手続きをしない』契約があることについて、買い主さんに通知。
  4. 書類一式がそろったのを確認して、買い主さんに代金振り込み指示。
  5. 全額の振り込みを行ったことを確認して、登記申請実行。

○売り主さんは一般に、大事な登記済証等を、代金振り込み前に手放したくありません。
○買い主さんは逆に、所有権移転登記に必要な書類をもらえなければ、代金を支払いたくありません。
○しかも売り主さんと買い主さんは離れたところにすんでおり、代金と書類を同時に引き替えることはできません。

 と、言うわけで。間に司法書士をはさんで先に売り主さんの書類をあずかる代わりに『お金の振り込みが確認できなければ登記はしない』ことをそれ自体契約の内容とし、その後買い主さんに代金支払いを指示するようにしてみました。

やっている作業自体は、対面で決済するのと一緒です。ですが、こうして売り主でも買い主でもないだれかを間に挟まずに、なんの危険もなく遠くの人と不動産を売買する、というのはなかなか難しいと思います。その反面で司法書士がもっと積極的に、書類も代金もいったんあずかって売買の進行を統制してしまう、ということも不可能ではない気がします。

 あくまでも第三者を間にいれない場合はどうでしょう。当事者が対面できなければ、完全な登記申請必要書類と完全な売買代金の同時引き替え、というのは、物流と登記のシステム上絶対にできません。

しょうがないから自分たちでリスクをとって代金か書類の交付のいずれかを先行させ、あとは売り主さんから委任状をもらって買い主さんが登記申請をかけるしかないでしょう。危険はありますが、制度としては可能です。

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参考文献

この他の参考文献

不動産登記の本人申請に関するもの

売買など、契約に関するもの

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